みなさんは、納豆や豆腐などの食品パッケージで「遺伝子組み換えでない」という表示を見たことはあるでしょうか?

「遺伝子組み換え」という言葉を聞くと、なんとなく自然ではなく抵抗感を持つ人もいるかもしれません。

近年、遺伝子組み換えは様々な食品に関わっているようなので健康に悪影響を与える危険性がないのかも気になります。

今回は、遺伝子組み換えについてわかりやすくまとめてみました!

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遺伝子組み換えとは?

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「遺伝子組み換え」とは、作物などに対して行うもので他の生物の細胞から抽出した遺伝子を組み換えて新しい性質を持たせるための手法のことです。

例えば、害虫に強い性質や除草剤に強い性質、栄養素を上げる効果などの遺伝子を抽出し新しい特性として加えられています。

「品種改良」という言葉を聞いたことがある人が多いかもしれませんが、遺伝子組み換えも品種改良の方法のひとつで意図的に遺伝子の組み合わせを変えて優れた性質を持った作物を作り出しています。

わかりやすく言うと、遺伝子組み換えは品種改良の進化バージョンです。

現在の日本では遺伝子組み換え作物は栽培されていませんが、トウモロコシ・大豆・ナタネ・綿実・ジャガイモ・パパイヤ・てんさい・アルファルファの遺伝子組み換え作物の輸入が許可されています。

この中で日本で主に流通しているのがトウモロコシ・大豆・ナタネ・綿実の4種類の作物で、輸入に大きく依存しています。

日本への主要な輸出国では遺伝子組み換え作物が高い割合で使用されているため、日本に輸入される農産物の9割程度が遺伝子組み換え作物だと推定されています。

これは、日本人が1年間に消費する遺伝子組み換え作物の量はコメの年間消費量の2倍以上という驚きのデータもあり、私たちの食生活に欠かせないものとなっています。

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遺伝子組み換えの歴史

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遺伝子組み換え技術の歴史をわかりやすくまとめてみました。

まず、遺伝子組み換えは食品だけでなく医学の分野でも貢献しています。

1973年、アメリカで遺伝子組み換えの基礎技術を用いて大腸菌を人為的に形質転換させることに成功し、微生物においての実験化が進んでいきました。

日本でも700万人以上もの患者がいると言われている糖尿病の治療にはインスリンが欠かせません。

かつてはブタからインスリンを取り出してそのまま使用するか化学反応を用いてヒト型と異なる部分のアミノ酸をヒト型に変形してヒトインスリンを製造していましたが、大量供給が難しく高価な治療薬でした。

1982年、遺伝子組み換えによりヒトインスリンの遺伝子を大腸菌に組み込んで大量に生産できるようになったため、高品質で安価なインスリンが大量生産され多くの糖尿病患者を救えるようになりました。

その後、インスリン以外の医薬品にも遺伝子組み換え技術が用いられて生産されるようになりました。

1985年半ば頃になると、農産物での遺伝子組み換え品種が実用化され世界各地で栽培されるようになりました。

1994年、世界で初めての遺伝子組み換え食品として完熟でも日持ちの良いトマトがアメリカで販売されました。

1996年、除草剤耐久性や害虫抵抗性のある遺伝子組み換え作物の商業栽培が始まり、日本でも輸入による利用が始まりました。

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遺伝子組み換えの作物のメリット・デメリットは?

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メリット

従来から行われてきた交配による品種改良では、それぞれの親の遺伝子を半分ずつランダムに受け継ぐため理想の品種ができるには偶然に頼るようなもので開発までには長い年月が必要とされていました。

しかし、遺伝子組み換えは特定の遺伝子を抽出して組み換えるため短期間で確実に目的の品種を開発できるメリットがあります。

また、遺伝子組み換えは交配できる品種間だけでなく異なる品種間でも可能な手法で、生産者の負担を大幅に減らすことにもつながるとして注目を集めています。

デメリット

遺伝子組み換えの作物には人体に害をもたらす危険性があるのではないかという声があります。

この危険性とは遺伝子組み換えの作物を食べるとアレルギーの原因になる可能性があるというものですが、厚生労働省は厳しい審査を通過しているためその可能性はないと否定しています。

この他にも環境への危険性として、遺伝子組み換えを行い開発された除草剤への耐性が強い作物の花粉などが、雑草に組み込まれてしまう可能性があるのではという声もあります。

花粉の受粉による意図せぬ遺伝子組み換えとなれば、近隣で遺伝子組み換え作物を育てていれば自分の農場で育てている作物に受粉され遺伝子組み換え作物が開発される可能性があることになりますよね。

これらの遺伝子組み換え作物の人体や環境に害をもたらす危険性については、20年以上研究され因果関係は認められていません。

しかし、20年以上と言っても歴史としてはまだまだ浅く十分な検討がされているとは言い切れないのが現状です。

遺伝子組み換え作物は20年以上の長期にわたり食べ続けた時に安全とは言い切れないデメリットがあるため、今後さらに長期的に影響が本当にないのかを研究し続け結果を発表していく必要があります。

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遺伝子組み換えの表示が改正される!?

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現在の日本では、トウモロコシ・大豆・ナタネ・綿実・ジャガイモ・パパイヤ・てんさい・アルファルファの8つの農産物と、これらを原材料として加工後も組み換えられたDNAやそれによって生じたタンパク質が検出された加工食品の遺伝子組み換え表示が義務の対象となっています。

日本の遺伝子組み換え食品の表示義務がある加工食品の例としては、豆腐・豆乳・納豆・味噌・油揚げ類・煮豆・きな粉・スナック菓子などの大豆やトウモロコシなどの作物を原料とする33の加工食品です。

大豆を原料とする食品には醤油や大豆油などもありますが、最新の技術でも組み換えられたDNAやタンパク質が検出されないため遺伝子組み換え表示義務がありませんが任意で表示することは可能となっています。

さらに、加工食品については原材料表示の上位4位以降や加工食品全体の重量の5%を越えない場合も表示しなくてもよいルールとなっています。

海外では遺伝子組み換えの原材料が0.9%以上検出されれば表示義務がある国もあり、日本の表示基準はわかりにくいうえに厳しくないことがわかります。

このように遺伝子組み換え表示には義務表示と任意表示がありますが、任意表示が情報が正確に伝わるように改正され2023年4月1日に施行されます。

現行のルールでは、遺伝子組み換え食品の原材料が流通過程で意図せずに混入するケースを想定し、混入率が5%以下であれば「遺伝子組み換えでない」・「遺伝子組み換えでないものを分別」と表示することが可能となっています。

2023年4月1日の改正後からは、不検出の場合のみ「遺伝子組み換えでない」・「非遺伝子組み換え」などの表示が可能で、5%以下の検出の場合は「遺伝子組み換え原材料の混入を防ぐため分別生産流通管理を行っています」・「分別生産流通管理済み」などの表示に変更されます。

この改正により、消費者の誤認防止や消費者の選択の機会の拡大につながると期待されています。

改正により混入率が0%でなければ「遺伝子組み換えでない」との任意表示が認められないため不安視している消費者にとってわかりやすくなり安心になると思えますが、5%未満でも100%近く使用していても同じ遺伝子組み換え表示の商品となるのでは…⁉。

本当に安心できるようになるのかは疑問が残りました。

まとめ

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遺伝子組み換えについてわかりやすくまとめてみましたが、いかがでしたでしょうか。

遺伝子組み換えとは、作物などに対して行うもので他の生物の細胞から抽出した遺伝子を組み換えて新しい性質を持たせるための手法のことで、害虫に強い性質や除草剤に強い性質などの遺伝子を抽出し新しい特性として加えられています。

短期間で確実に目的の品種を開発できるメリットがあり安全性も確認されていますが、20年ほどの歴史しかないため危険性を疑う声もまだまだあることがわかりました。

2023年4月1日に任意表示が改正されるので、商品パッケージに注目したいと思います。

最後まで読んで頂き、ありがとうございました。

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