佐野研二郎さんを覚えていますか?
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先日まで平昌オリンピックが開催されていて、今はパラリンピックの話題でテレビは持ちきりですが、オリンピックということで何かと東京オリンピックの話題も取り上げられていましたね。
そこで筆者は東京のオリンピックといえばエンブレム問題を思い出したのですが、皆さんはあの騒がれた一連のエンブレム騒動を覚えていらっしゃいますか?
あのエンブレム問題では、佐野研二郎さんが時の人となりましたが、今はどうなさっているのでしょうか。
そこで今回は佐野研二郎さんをはじめとする一連のエンブレム騒動の詳細と、現在の佐野研二郎さんについて、分かる限り調べてご紹介したいと思います。
疑惑の一件とは
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まずは問題となった、東京オリンピックのエンブレム騒動について、ご説明しておきましょう。
東京オリンピックのエンブレム騒動とは
事の発端は、2015年7月24日に東京オリンピックのエンブレムが東京都庁で発表されたことでした。
エンブレムをデザインしたのがまさに佐野研二郎さんで、発表直後からそのロゴについては意見が賛否両論飛び交っていました。
しかしそのわずか5日後の7月29日あたりから、ネット上でロゴに関して騒がれるようになります。それが「ロゴの盗作疑惑」です。
具体的に説明しますと、佐野研二郎さんがデザインしたエンブレムが、ベルギーにあるリエージュ劇場のロゴと似ているのでは、という疑惑がネット上で持ち上がったのです。
この件についてデザイナーの佐野研二郎さんは、リエージュ劇場のロゴも知らないし制作時に参考したこともないとコメントされました。
しかしその後、そのリエージュ劇場のロゴデザイナーであるオリビエ・ドビ氏側よりエンブレムの使用差し止めを要求されたことにより、事態が悪化していきます。
実際に8月3日は差し止めを求める文書が日本オリンピック委員会に送られてきたことが判明します。
これを受けて8月5日、佐野研二郎さんは記者会見を開き、以下のように弁明します。
「日本人としての誇りを持って作った。盗用との指摘はまったくの事実無根」
「1964年の東京五輪のエンブレム以外は、何の影響も受けていない」
「リエージュに行ったことはなく、ロゴのデザインを知り得ない」
「世界に類のないエンブレムだと確信している」
「真にオリジナルのものができたからこそ自信を持って世の中に送り出した」
ですが弁明もむなしく、むしろ火に油を注ぐ形で騒動は一層加速化していきました。
なぜここまで騒動が大きくなってしまったのか
騒動は沈下するどころか収まるところを知らず、どんどんとエスカレートしていきます。しかし、なぜここまで騒動が大きくなってしまったのでしょうか。
なんとエンブレムだけではなく、佐野研二郎さんが過去にデザインしたサントリーの景品となったトートバックのデザインにも盗作疑惑が持ち上がるのです。
これを受けて8月13日にサントリーは一部のバックの発送を中止する事態にまで発展します。
そして8月14日には「スタッフが第三者のデザインを写して使った」ことを認めて謝罪しました。
また、リエージュ劇場のロゴとトートバックのデザインの元ネタと推察されている作品が「Pinterest」というサイトに掲載されており、且つ佐野研二郎さんがそのサイトのアカウント登録をしていたことが発覚し、何らかの形でこれらの元ネタとされる作品を見ていたのではないかという疑惑も浮上したのです。
大会組織委員会は公募でデザインを選んで正規のプロセスを踏んだのだからエンブレムの使用は問題ないという姿勢を貫きましたが、とうとう8月14日にリエージュ劇場より著作権を侵害されたとしてIOCに対して使用差し止めなどを求める訴訟を起こされてしまいました。
著作権侵害は認められたのか?
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ただし、リエージュ劇場のロゴについてはそもそも商標登録はされておらず、商標権については問題にならないことが明らかになりました。
また仮に商標登録されていたとしても、オリンピックのエンブレムは文字とセットで使われているため、二つが誤認混同される恐れはないことから、どちらにしても問題にはならないという見解が強い状況でした。
また、著作権の問題についても、裁判で著作権侵害が認められるためには、既に存在する他人の著作物を利用して作品を作出したこと(依拠性)と、比較対象となる両者のデザインが類似していると判断されること(類似性)が必要とのことで、この2つの要件をベルギーのデザイナーが証明しなければならないことから、こちらも証明は難しいのではないかとされていました。
ただ単に盗作と定義するにはさまざまな側面があり、芸術性からしてみてもオマージュであったりパロディであったりと、見解は分かれるところであるとの声も挙がっていたのは事実です。
一連の幕引きとは
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ですが結果的に9月に入って佐野研二郎さんの申し出により、佐野研二郎さん自身がデザインしたエンブレムのデザインは取り下げることが決定し、一連の幕引きとして大会組織委員会は公募の仕切り直しを決定しました。
正式な応募要項が10月16日に公表されましたが、前回は各項目でハードルが設けられ、国際的なコンペの入賞歴などが条件にありましたが、今度はそのような条件は撤廃され、日本にいる18歳以上のほぼ誰でもが応募できるようになりました。
また今度は個人ではなくグループでも応募ができるという大きな変化もありました。
これは取り下げの声を上げた人々に対して最大限配慮したルールの変更であり、多くの人にチャンスを与えるという意味合いがあったようです。
このような経緯を経て、2016年4月25日、2020年東京オリンピックのエンブレムには野老朝雄さんの「組市松紋」に決定されました。
このような幕引きとなった訳ですが、佐野研二郎さんは9月自らのホームページで「もうこれ以上は、人間として耐えられない限界状況だと思うに至りました」と綴り、そのまま取材には一切応じることなく、表舞台から姿を消してしまいました。
佐野研二郎さんは今現在は何してる?
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現在それでは佐野研二郎さんはどうされているかと気になり少し調べてみました。
まず佐野研二郎さんが所属するMR_DESIGNのwebサイトを見てみると、英語表記となっているようですが現在も活動されているようです。
一連の騒動で騒がれていた時には過去のデザイン実績が完全にみることができない状態となっていましたが、現在では製作実績を掲載されているようで、昔のサイトとデザインも変わっています。
2015年12月には大手クライアントが佐野研二郎さんを励ます会を開いたという話も出ており、現在では仕事にも復帰していると伝えられています。
まとめ
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いかがでしたでしょうか。佐野研二郎さんを中心として巻き起こった一連のエンブレム騒動の詳細と、現在の佐野研二郎さんについてご紹介いたしましたが、改めて振り返ってみると、盗作と定義するのは何なのか、オマージュやパロディとはどこまでを言うのかなど、さまざまな点において私たちも考えさせられる一件となったことは言うまでもありません。
また一方で、一人の人間を特定して個人を相手に、ネットやメディアを通じてここまで個人的に攻撃をしてしまう風潮についても、改めて考えなくてはならないと思わされる事件だったのではないでしょうか。
現在無事に新しい東京オリンピックのエンブレムが決定し、2020年に向けて着々と準備が進められていることがせめてもの救いですが、こういった問題が今後発生しないことを祈りつつ、2020年を心待ちにしたいと思います。
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最後まで読んでいただきありがとうございました。