日本では死刑の次に重い刑罰とされている「無期懲役」ですが、刑法上は仮釈放が認められています。
しかし、実際に仮釈放されるケースはとても珍しいそうです。
このためか、無期懲役になると死刑にはならないけれど、一生刑務所から出られないというイメージをしている人も多いそうです。
その逆に無期懲役でも15年ぐらいで出所出来るという噂もあります。
仮釈放になるまでには一体どのようなハードルがあり平均年数はどのくらいなのでしょうか?
また、再犯率や無期懲役と終身刑の違いも気になりますよね。
そこで今回は、無期懲役についての疑問についてまとめてみました。
無期懲役とは
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無期懲役とは、懲役刑の中でも刑期が満了になる時期を決めずに無期限で懲役を科する刑罰のことです。
懲役とは有罪判決を受けた人物を刑務所に拘禁して、刑務作業を行わせる刑罰のことで、受刑者の自由を奪う自由刑の中の一つです。
無期懲役の判決が確定すると、受刑者は刑務所に収容されて、残りの人生をその中で過ごすことになります。
無期懲役は刑期に終わりはないですが、反省や更正の状況によっては仮釈放が認められる場合もあります。
そのため、無期懲役と言っても必ずしも一生涯にわたる懲役刑になるとは限らないのです。
しかし、無期懲役の服役者に仮釈放が認められるケースは極めて稀とされています。
仮釈放になって社会に戻ったとしても刑期中の身であるため保護観察の対象になり、その後の生涯でも無期懲役が解除されることはありません。
恩赦によって刑罰が消滅か軽減されない限りは、一生涯国の監視下にあるのです。
日本で無期懲役は、死刑の次に重い刑罰です。
また、無期限で科される刑のことを無期刑と呼びますが、無期刑には無期懲役の他にも無期禁錮が含まれています。
ちなみに禁錮とは、懲役と同じく刑事施設に拘禁されますが、刑務作業の義務がない刑罰です。
しかし、無期禁錮はほとんど適用されていないため、無期刑と言えば無期懲役を指すようになっています。
無期懲役の仮釈放制度とは
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さきほど説明しましたが、無期懲役は無期限で懲役を科する無期刑ですが、仮釈放制度もあります。
仮釈放の判断は全国8ヶ所にある地方更正保護委員会によるもので、審理は刑罰施設長もしくは自らの判断で開始されます。
その後、地方更正保護委員会の委員が直接受刑者と面接を行った上で必要であれば、被害者やその家族や検察官などにも意見を聞いて、個々の受刑者に仮釈放が可能かどうかの判断が下されます。
すべての無期懲役の受刑者に仮釈放の可能性はありますが、将来的に仮釈放が保証されているわけではありません。
そのため、仮釈放が認められないまま30年を超える長期間刑事施設に居続ける受刑者や、刑務所内で死を迎える受刑者もいます。
仮釈放の判断基準とは
刑法の第28条に仮釈放についての規定が定められています。
それを見てみますと、無期懲役に処せられた者に改悛の状がある場合には、十年を経過した後に行政官庁の処分によって仮釈放することができると書かれています。
すなわち無期懲役の場合は、刑の執行が始まってから10年が経過して、受刑者が犯した罪を悔い改め心を入れ替えたと判断されれば、仮釈放の可能性があるということです。
しかし、反省しているかと判断するのに受刑者の発言や反省文だけで判断することはありません。
改善更生しようとしている意欲の強さや、被害者に対しての謝罪の気持ちや実際に行っていればその内容、その他にも受刑中の態度、釈放後の生活計画の有無なども判断の材料となります。
また、受刑者だけでなく被害者の感情や検察官の意見などの社会的な感情も重視されます。
社会情勢が変化するにつれて、重大な罪に対して厳罰化する傾向が強まっているため、受刑者の更生意欲は反対に落ちています。
そのため、仮釈放制度は受刑者の更生意欲を引き出すための制度でもあります。
無期刑の場合、刑の終わりがないため仮釈放制度がなければ受刑者が刑事施設内で真面目に生活を続けることは不可能ではないでしょうか。
しかし、もし私が被害者側だっとしたら仮釈放なんて許せることではないと思います。
ただし、受刑者が仮釈放になり社会復帰したとしても、保護観察は一生受けるため罪の重さが薄れるわけではありません。
さらに、仮釈放中に軽い罪だとしても再犯をしたり、守るべき事項を守らなければ国は仮釈放を取り消して受刑者を再び収監することもできます。
仮釈放までの平均年数は?
過去に一審で無期懲役の有罪判決を受けた殺人事件の被告人が控訴をし話題になりました。
被告人が一審の公判の時に、「無期懲役は実質的な終身刑だから唯一それだけは嫌です。」と述べたそうです。
その言葉には、無期懲役でも仮釈放は期待できないから一生刑務所から出られないという意味が込められているのだと思います。
それほどまでに、無期懲役での仮釈放のハードルは高いのでしょうか?
仮釈放までの平均年数が気になりますよね。
法務省が公開しているデータを見てみると、無期懲役の受刑者が仮釈放されるのはとても困難です。
例えば、平成23年~27年間の5年間を見てみると仮釈放された受刑者数の平均年数はそれぞれ30年以上で、平成18年~平成27年の平均年数は31.2年です。
仮釈放の申請数を見てみると、平成23年~平成27年の5年間で合計129件申請されていますが、そのうち仮釈放が許可されたのが33件で25.6%です。
さらに、仮釈放の申請をする者自体が刑の執行から30年以上経過した人が9割を占めることも分かりました。
これらのデータから分かるように、日本の無期懲役の仮釈放の平均年数は30年以上で、30年経過しても出られない可能性の方が高く、一生出られずに獄死する可能性も高いということです。
この30年という年数には、飲酒運転などをはじめとして刑法の厳罰化を求める世論の風潮を受けて、刑法が改正されたことが大きく関係しています。
それは、2005年1月に施行された刑法などの一部を改正する法律で、それまで最長20年だった有期刑を30年に引き上げたからです。
これにより、有期刑とのバランスを考えれば無期懲役が30年未満で仮釈放されてしまえば、おかしなことになりますよね。
昔は、無期懲役でも15年程で仮釈放になっていたため、今でも都市伝説のように「無期懲役になっても、どうせ15年ぐらいで仮釈放される!」という噂があるようです。
しかし、これはあくまでも過去の話です。
現在は、無期懲役が仮釈放されるまでには30年以上はかかるのです!
無期懲役での仮釈放中は24時間監視されてるの?
無期懲役の場合、仮釈放され刑事施設から出ることが出来ても監視下に置かれ続けますが、死刑の次に重い刑罰のため24時間監視され続けるのでしょうか?
私は無期懲役で仮釈放の場合は、24時間に近い時間監視され続けられるのかと思っていましたが、そうではありませんでした。
まず仮釈放になると、保護観察所に月2回行くことになります。
長期旅行や転居などにも制限があって、保護観察官からの許可が必要です。
24時間監視されはしませんが、万引きなどの比較的軽い犯罪をしてしまっても、すぐさま刑事施設に戻ることになります。
無期懲役と終身刑の違いは?
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日本にはありませんが諸外国には、終身刑というものがあります。
一般的には無期懲役と終身刑は同じと考えている人や、違うと考えている人もいるようです。
実際はどうなのでしょうか?
無期懲役と終身刑の違いについてまとめてみました。
結論から言ってしまうと、無期懲役と終身刑は同じものです。
ではなぜ日本に終身刑がないのかと言うと、終身刑ではなく無期懲役という呼び方をしているからなんです。
しかし、無期懲役と終身刑の違いがあると言われているのは、終身刑には2つの意味内容があるためです。
1つ目の意味内容は、仮釈放の制度がなくて一生刑務所に収監され続ける「死ぬまで受け続ける刑罰」である絶対的終身刑です。
2つ目の意味内容は、「刑の終わりの期限はなく、仮釈放によって途中で出所出来る可能性がある」刑罰である相対的終身刑です。
この2つ目の相対的終身刑は、日本の無期懲役と同じ意味を持つのです。
日本には仮釈放の可能性がない無期懲役はありませんが、諸外国には仮釈放の可能性があるものとないものの両方ある国もあるのです。
一般的にマスコミが報道する終身刑が、仮釈放がない終身刑を指す場合が多いため、無期懲役と終身刑が別のものだと一般的に理解されているようです。
しかし、実際にはそうではありません。
終身刑にも仮釈放の可能性があるものもあり、同じものなのです。
日本でも仮釈放の可能性がない終身刑の導入が議論されている!
諸外国には、日本にはない仮釈放の可能性がない終身刑があることが分かりましたが、日本でも導入の是非は議論されています。
(以外、仮釈放の可能性がない無期懲役のことを終身刑とします。)
これには、無期懲役で仮釈放中の受刑者が重大犯罪を犯した事例があることや、死刑と無期懲役とのギャップが大きすぎるという意見があるからです。
死刑には社会復帰の可能性はありませんが、現在の日本の無期懲役には社会復帰の可能性があります。
そのため、死刑と無期懲役の中間に終身刑の導入を求める声も多いのです。
それに加え、死刑を廃止してから終身刑を導入した方が良いとの意見もあります。
日本で終身刑を導入した場合のメリットやデメリットにはどのようなものがあるのでしょうか?
まず、終身刑のメリットとしては事件の再発防止の保証や、刑務所で生涯罪を償うことの保証などがあります。
そして、終身刑のデメリットとしては、受刑者が自暴自棄なって人格が崩壊しやすい可能性があることや、刑務所から一生出られないことが分かっているため、開き直って従順さを失い管理が困難になることが考えられます。
終身刑の導入については、メリットを期待して導入に支持する意見も多くありますが、死刑と同じように人道的な問題が大きいとの意見もあります。
また、死ぬまで一生刑務所から出られないため、死刑よりも残虐な刑ではないかとの意見もあります。
この他にも、終身刑の導入については刑事施設の秩序を維持するための費用面などからも、現実的に実現するのは無理なのではないかとの声もあります。
刑法犯で検挙された人の再犯率は?
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まず、刑法犯とは刑法や暴力行為などの処罰法、爆発物取締罰則、組織犯罪処罰法などの法律に規定されている殺人や強盗、強盗、放火、強姦、暴行、傷害などの犯罪です。
刑法犯によって検挙された者の再犯者の人数は、平成8年の8万人1,776人を境にして増加していましたが、平成18年をピークにして徐々に減少していました。
平成28年は平成18年と比べると、26.1%減っています。
しかし、再犯者の人数が減っていますが、それをさらに上回るペースで初犯者の人数も減っているため、再犯者数は平成9年以降上昇し続けています。
また、再犯をするまでの期間は高齢者になるほど短くなる傾向があります。
半年未満の再犯率を詳しく見てみると、29歳以下が21.8%、30~39歳が25.1%ですが、60~64歳になると38.2%で、65歳以上は40.2%までになります。
この結果により、家族が少ない高齢者が生活に行き詰まって再犯をしてしまう実態が浮かび上がることになりました。
これにより法務省は、高齢者の再犯を防ぐために厚生労働省などと連携して、出所後に介護などの福祉サービスを特別に斡旋する特別調整などの再犯防止策を実施しています。
近年の「犯罪白書」によれば、仮釈放者の再犯率は強盗罪が34%、強姦罪で32%でしたが、満期出所者はどちらも56%と上回っています。
無期懲役の仮釈放での再犯率のデータが見つからなかったため、このデータは全ての刑の再犯率になっています。
無期懲役で仮釈放になるには30年以上かかるため、高齢になっての仮釈放になります。
だからと言って再犯者がいないわけではなく、無期懲役から仮釈放になり、再犯をして死刑になった事例もあります。
こうなってしまうと、終身刑の議論が出るのも当然だと思います。
まとめ
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無期懲役についてのまとめはいかがでしたでしょうか?
日本の無期懲役には仮釈放の可能性がありますが、仮釈放までの平均年数は30年以上になります。
諸外国には終身刑がありますが、無期懲役と終身刑の違いはありません。
終身刑にも仮釈放がある終身刑もあるためです。
今回、無期懲役について調べていく中で、死刑との差がありすぎるように思いました。
個人的には、再犯者がいることを考えれば、仮釈放のない終身刑を導入することがあっても良いと思います。
最後まで読んで頂き、ありがとうございました!
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