近年、日本では少子高齢化社会への対策として子育てしやすい環境づくりへのさまざなま取り組みが始まっています。
2019年10月からは幼児教育・保育の無償かがスタートし話題となりましたが、2020年4月からは私立高校の授業料を実質無償化する制度がスタートすることをご存知でしょうか。
子育てをするうえで家計への負担がとても大きい高校の授業料無償化は学びの選択肢が広がるきっかけにもなります!
そこで今回は高校無償化とはどんな制度かについてわかりやすくまとめてみました。
高校無償化とは
高校無償化とは正式に「高等学校等就学支援金制度」と言い、2010年4月1日から公立高校は授業料無償化(不徴収)、私立高校は一定額(11万8,800円)を助成する制度がスタートしました。
2010年時点での制度には所得制限がなく、私立高校に通う所得が一定以下の世帯では一定額の1.5倍~2倍の金額が助成される制度でした。
その後、2014年に制度が改正され現在まで続いていますので現行の高校無償化についてわかりやすく説明します。
現行の高校無償化とは
2014年、高校無償化のスタートから4年後に公立高校の不徴収制度が廃止され公立高校でも就学支援金の対象となりました。
また、世帯の所得制限が加わり年収910万円以上の世帯は制度の対象外となりました。
現行の就学支援金の支給額は、全日制の公立高校と私立高校(特別支援学校を含む)で月額9,900円、定時制の公立高校で月額2,700円、通信制の公立高校で月額520円となっており、単位制の高等学校は履修単位数に応じて支給額が決定されます。
公立高校と私立高校の授業料・学費・費用の違いは?
・公立高校(※2020年の金額)
受験料2,200円、入学金5,650円、授業料年間118,800円(月額9,900で無償化の対象)、制服約10万円、体操服&教材費約5万円、この他に修学旅行積立金や交通費、補助学習費、学校外活動費などがあります。
・私立高校(私立高校の場合学校により大きな差があるため平均額です)
受験料約15,000円~30,000円、入学金約20万円~25万円、授業料年間約40万円~45万円、制服約10万円、体操服&教材費約5万円、施設整備費年間約20万円、この他に修学旅行積立金や交通費、補助学習費、学校外活動費などがあります。
就学支援金は国から学校へ支給され国公立の場合は授業料の金額により世帯からの授業料の支払いが実質不要になるため、高校無償化と呼ばれています。
しかし、私立の場合は授業料が国公立と比べると高額のため支援金と授業料の差額の負担が必要となり、実際には高校無償化にはなっていません。
ただし、年収が590万円未満の場合は年間17万8,000円、350万円未満の場合は年間23万7,600円、270万円未満の場合は年間29万7,000円が支援金に加算されます。
現行の高校無償化ではすべての高校の授業料が無償化になっているわけではなく、私立高校に通っている生徒の世帯には十分な支援とは言えない状況となっています。
2020年4月から高校無償化制度が改正
現行の高校無償化では私立高校に通っている生徒の世帯には十分な支援ではないと説明しましたが、2004年4月に支援金制度が改正され私立高校の平均授業料の水準にまで支援金の上限が引き上げられることになりました!
対象者は私立高校に通う生徒の世帯年収が年収590万円未満の場合で、就学支援金が私立高校の平均授業料の水準にまで引き上げられます。
例えば、年収目安が350万円以上590万円未満の世帯でこれまで年額17万8,200円の支給だったところ、2020年4月以降は年額39万6,000円の支給となります。
ただし、私立高校に通う生徒の世帯年収が590万円以上910万円未満の世帯ではこれまでと同じ月額9,900円の支給となり、世帯年収が910万円以上では支給はありません。
また、改正後の制度は2020年以前に入学した在校生にも適用されるため私立高校に通う生徒の授業料が大幅に軽減されることになります。
注意しなければならないのは、就学支援金が引き上げられるのは私立高校の平均授業料を勘案した水準までのことです。
この水準よりも高い授業料を支払っている私立高校の場合にはその差額を負担する必要がありますので注意が必要です。
お住いの地域によってはすでに私立高校でも無料だという人もいるかもしれませんが、それは地域の自治体が独自に行っている制度で今回説明している高校無償化は国が行う制度です。
就学支援金の申請方法は?
高校無償化による就学支援金は2020年4月に入学する生徒だけでなく在校生にも適用されます。
そして、適用されるすべての生徒が通学する学校へ各自が自分で申請を行います。
新入生は入学時に学校から案内がありますのでその指示に従って申請を行い、在校生は収入状況の届け出を行う7月頃に学校から案内がありますのでその指示に従って申請を行ってください。
授業料以外にかかる費用に注意が必要!
出典:https://money.rakuten.co.jp
高校無償化とはどんな制度かについてわかりやすくまとめてみましたが、無償化といっても全てが無料になるわけではなく授業料が実質無償化になるため授業料以外にかかる費用の心配があると思います。
特に、私立高校の場合は授業料以外の負担がとても大きいため授業料が実質無料になるからと言って簡単に選択できないという人もいると思います。
そこで、対象者は限られてしまいますが授業料以外にかかる費用の負担を軽減してくれる高校生等奨学給付金制度もありますのでわかりやすくまとめてみました。
高校生等奨学給付金制度とは
高校生等奨学給付金制度とは、2014年からスタートした授業料以外の教科書代・学用品代・PTA会費・修学旅行代などにかかる費用を支援する奨学給付金制度です。
対象者は生活保護受給世帯と住民税非課税世帯となりますが、約3万円~14万円の給付を受けることができます。
金額は、生活保護受給世帯では国公立で年3万2,300円・私立で年5万2,600円。
住民税非課税世帯の第一子では国公立で年8万2,700円・私立で年9万8,500円。
住民税非課税世帯の第二子では国公立で年12万9,700円・私立で年13万8,000円となっています。
授業料以外にかかる費用の負担も軽減してくれるありがたい制度ですが、これらは国の基準で自治体によっては独自の給付を行っているところもありますので、確認してみてくださいね。
公立高校と私立高校のメリット・デメリットは?
高校無償化制度の改正により私立高校の平均授業料を含めた水準にまで就学支援金の上限が引き上げられることによって、私立高校の大きなデメリットであった学費の高さがカバーされることになります。
これにより私立高校を選択する生徒が増えることが予想されますが、そもそも公立高校と私立高校のメリットにはどんなものがあるのかまとめてみました。
・公立高校
メリット
公立高校は学費が安いことが特徴ですが、それ以外にも同じ地域の人が集まりやすく公立中学校の知り合いが多いことで地域の人間関係をより深くするメリットがあります。
また、公立高校では全国で標準的な教育が行われることで家庭の事情などで転校することになっていしまっても、学習進度の差をあまり心配しなくても良いことも安心です。
デメリット
公立高校では学校によって差はありますが、予算によって施設や設備が古いことがあります。
また、先生の人事異動があるため授業の質の安定面でのデメリットもあります。
・私立高校のメリット
メリット
私立高校では施設整備費がかかりますがその分施設や設備が充実していることや、進学校では高校1年生の時から大学受験を意識したカリキュラムが組まれている学校もあり大学受験への対応がしやすいメリットがあります。
また、先生の移動が少ないため先生の指導が安定し先生が生徒へ愛着を持ちやすいこともメリットです。
さらに、制服が可愛いと人気の高校も多いようです!
デメリット
私立高校の最大のデメリットが学費の高さでしたが2020年4月から授業料の負担が大幅に軽減されます。
しかし、公立高校に比べると施設整備費などの授業料以外の諸費用が多く発生するため、公立高校と比べるとやはり教育に関する負担が大きいことがデメリットです。
まとめ
出典https://encrypted-tbn0.gstatic.com/images?
高校無償化とはどんな制度なのかについてわかりやすくまとめてみましたが、いかがでしたでしょうか。
家計への負担が大きい高校の授業料ですが2020年4月から私立高校の平均授業料を含めた水準にまで就学支援金の上限が引き上げられることになりました。
私立高校の無償化に向けた高校無償化制度の改正により経済的な問題で国公立高校を選択していた世帯でも選択肢の幅が広がるようになり希望の高校を選べるようになるのではないでしょうか。
公立高校と私立高校のメリット・デメリットを理解して高校を選びたいですね。
今後も高校無償化のさらなる制度改正が行われる可能性が十分にあると思いますので情報をチェックする必要がありそうですね!
最後まで読んで頂き、ありがとうございました。