みなさんは、日本プロ野球界を震撼させた「黒い霧事件」をご存じでしょうか。

私の中でのプロ野球界の事件と言えば、現役の巨人軍の選手が野球賭博に関わったニュースが記憶に新しいです。

野球賭博も衝撃的でしたが、今から50年前にはプロ野球界でさらに衝撃的な現役選手による八百長事件があったんです。

現在は大人気のプロ野球に暗黒の時代があったとは驚きです。

野球ファンとしは、プロ野球界の闇の部分も知っておかなければ!

そこで今回は、黒い霧事件についてわかりやすくまとめてみました!

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黒い霧事件とは

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黒い霧事件とは、1969年から1971年にかけての日本プロ野球において、プロ野球関係者が金銭の授受を伴う八百長に関与したとされる一連の疑惑や事件のことです。

日本野球機構(NPB)は八百長への関与について、野球協約第355条が規定する『敗退行為』に該当するとの見解を発表しました。

どんな規定なのかわかりやすく説明しますと…

「役職員や選手、監督、コーチが試合に意識的に敗れたり、勝つための最善の努力を怠ったり、相手チームとあらかじめ示し合わせて事をたくらんだりしたものは、永久にその職務を停止させられる。」

というもので、この他にも上記のような勧誘を受け情報の報告を怠ったものも制裁されると規定されています。

さらにわかりやすく説明すると、真剣に勝負をしているように見せかけて、実は前から約束していた通りに試合を終了させるなど、わざと負けてお金儲けをしたものは2度と野球をするな!ということです。

そして、このような行為が八百長です!

関与が疑われた現役選手には、永久出場停止や、長期間の出場停止、年俸減額などの処分が下されました。

これらの選手の一部は、オートレースの八百長事件に関与していたことも明らかになりました。

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事件発覚の経緯

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八百長と言われても試合を見ている側にとっては裏で金銭の授受が行われているなんてわかりませんが、どのようにして事件が発覚したのでしょうか。

事件発覚の経緯について、わかりやすくまとめてみました。

1969年、プロ野球のペナントレース中に西鉄ライオンズのフロントが、「もしかしてうちの選手、わざとエラーしてない?」との八百長への関与の疑惑を抱き、極秘に調査を開始しました。

西鉄ライオンズとは?と思った方もいるかもしれませんが、現在の埼玉西武ライオンズのことです。

以下は西鉄と省略させて頂きます。

極秘調査の結果、投手の永易将之が暴力団関係者に依頼されわざと試合に負ける「敗退行為」を行っていたとして、西鉄は永易をシーズンオフを以て所属契約更新を行わずに、解雇にすることを決定しました。

その他にも、カール・ボレスが報知新聞の西鉄の番記者に「うちにわざとエラーをする選手がいる」ともらしたことがきっかけで、報知新聞が読売新聞の社会部と共同して取材を進めた経緯もあります。

当時、永易の年俸は180万円でしたが福岡の繁華街で豪遊している姿などが有名となっていたため、人物の特定は容易だったようですね~。

これではバレバレですよねぇ。(苦笑)

新聞社が西鉄球団社長の国広直俊に直接取材したところ、「球団独自の調査では残念ながら事実でした」とし、「永易を含む3人の調査をしたところ、他の2人は永易に誘われて一時期八百長に加わったがすでに反省しているため処分の対象にはしなかった。」と答えました。

反省だけで!?関与しているには違いないのに、この判断は甘すぎると思うのは私だけでしょうか…。

10月8日、報知新聞と読売新聞は永易が公式戦で八百長を演じていたことを大々的に報道しました!

この報道を受けて、同日の午前11時半から福岡市内の球団事務所にて国広球団社長が記者会見を行い、以下の発言をしました。

・永易が八百長をやっていたという確証を突き止めたわけではない。

・素人目から見ても八百長を演じているのではないかと思った。

・永易本人を呼んで疑惑について問いただしたが、否定も肯定もせずにただ震えており八百長に手を染めていると確信した。

などと述べました。

この記者会見の一方で、報道を受けて永易の福岡市内のアパートにはマスコミが殺到し、永易は「自分はやましいことはしていないが、こうなってしまっては今更何を言っても聞いてもらえない」と言い残し、普段着のまま自宅を出て行きそのまま行方をくらませました。

まさかの行方不明ですが、やましいことがあったのではと思ってしまいますね~。

その後、10月9日に西鉄の監督権選手の中西太は球団に対して辞任を申し入れ、オーナーなどの慰留がありましたが本人の意思が強く10月22日に正式に退団が発表されました。

10月16日、夕刊フジが行方不明となっていた永易へのインタビューに成功し、永易は記者に「神に誓ってやっていない!」と言いましたが、今更何を言っても無駄では?と指摘されると再び行方不明となってしまいました。

そして行方不明期間が長かったため、暴力団に軟禁されているのでは?との噂まで流れましたが、実際には恋人と札幌で暮らしていました。

実際とは全く違う凄い噂が流れたなと思いましたが、世間をこれほど騒がせるほどの世紀の大スクープだったということですよねぇ~!

この他にも「藤田事件」という、巨人の投手コーチをしていた藤田氏が代表取締役を務めていた会社に暴力団と関係があるとの疑惑が取り沙汰されると、とうとう国会でプロ野球の暴力団との関係(黒い霧)を取り上げられる事態へと発展し、行方不明の永易の捜索も本格化していきました。

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大きく揺れる日本球界

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その後、永易は面識のあった元デイリースポーツの大滝記者(永易を探し当てた記者)に八百長は事実であると認め、球団から口止め料として合計550万円を貰っていたことを語りました。

それから永易は警察にて…

・自分以外にも八百長に関与していた選手がいる

・西鉄オーナーの楠根氏から口止め料を貰っていた

と衝撃の証言をしました。

その後、楠根オーナーは記者会見を開いて口止め料の授与について完全否定をしましたが永易の証言は終わることはなく、八百長に関与したの選手をイニシャルで暴露していきました。

その内容は…

・親しいYに頼まれた

・Yに頼んだのはHで、M投手の知人で自分も知っている人

・Yから頼まれてF選手をとめた

など、イニシャルで暴露していったのですが、田中勉だけはなぜか本名でバラされており、のちに週刊ポスト相手に訴訟を起こす事態に!

1970年3月24日、永易の暴露を元にして共同通信が記事を発信し、多数の新聞に掲載されました。

さらに、容疑がかけられていた池永選手が球団から「上のものが解決するから、お前らは黙っていろ!」と言われたことを認めているとの報道もありました。

1970年4月10日、永易は半年ぶりに公に姿を現した記者会見にて、記者たちからイニシャルで挙げた選手を実名で挙げるようにと迫られました。

そして、池永正明、与田順欣、益田昭雄、村上公康、船田和英、基満男、田中勉の名前を挙げました。

さらに、西鉄球団幹部から約550万円の逃走資金を受領したことを再度述べ、元南海ホークスの佐藤公博に謝礼と引き換えに先発投手の名前を漏らしていたことも告白しました。

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西鉄ライオンズの側の主張

永易の主張に対して、西鉄球団は八百長に関与したとする選手たちを呼び出し事情聴取をしましたが、全員が永易の発言を否定したため西鉄球団は疑惑の選手たちは八百長に関与していないと発表しました。

また、永易が受領したとする約550万円についても完全否定をしました。

ずいぶん簡単に結論を出してしまうんですねぇ…。

そして、永易からは西鉄から約550万円を受領した場には藤縄と大城という人物が同席したとの発言があったのですが、藤縄は神戸で牛乳販売をしており西鉄オーナーには会ったこともないと永易の発言を完全否定しました。

その後も永易と藤縄の発言は平行線状態で2人が対面インタビューもありましたが、状況の変化はありませんでした。

話が先に進みませんが、事件の真相は本当に明らかになるのでしょうか。

事件の真相は?

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事件の真相に近づいたのは、取材を諦めずに続けた朝日新聞でした。

朝日新聞は、永易の前夫人とその友人夫婦に取材をし、永易が西鉄からの口止め料について大城と相談していたことや、離婚の際の慰謝料が西鉄からの口止め料から支払われていたことを両者が明言したことで、確証をつかみました。

さらに、永易の実家にも取材に行くと…

・口止め料の一部は実家にある。

・楠根が口止め料の受け取りは大城を通して行うことを明言した。

などの証言を得ることに成功し、事件の真相解明に大きな前進をしたのでした。

さらなる事件が明らかに!

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プロ野球の八百長事件の他にも、東京地検特捜部には追っている案件がありました。

それは、オートレースの八百長事件です。
 
どうやら、プロ野球の八百長に関与したとされる田中が、オートレースでの八百長に関与していたことで並行して捜査が続けられていたのです。
 
オートレースの八百長事件で逮捕されたレーサーが「八百長レースで現役のプロ野球選手と他に男2人が現場にいた」と自供したため、田中と藤縄、元大洋ホエールズの高山勲投手が逮捕されました。
 
その後、藤縄が朝日新聞の記者にプロ野球の八百長関与を認める発言をしたため、朝日新聞は藤縄の告白を大々的に報道し、世間に更なる衝撃を与えることになりました!
 
楠根オーナーは決算報告中に退席し追いかける記者たちを振り切って姿を消すと、読売新聞や毎日新聞の夕刊が『楠根オーナーが永易への金銭授受を認めた!』と報道しました。
 
その後、プロ野球コミッショナー委員会は東京に遠征中だった西鉄の八百長に関与したとされる選手を東京の日生会館に呼び出すと、約5時間もの事情聴取を行いましたが選手たちは再び疑惑を否定しました。
 
しかし、プロ野球コミッショナー委員会は与田と益田を出場停止処分とし、その他の選手は公式戦出場の1ヶ月の見合せを発表しました。
 
その結果、主力選手がほとんど抜けてしまうという事態となり、その後に西鉄がようやく真相究明に乗り出すことになりました。
 
よくやくですか!遅すぎですよね…。

事件の結末

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プロ野球とオートレースでの八百長関与の疑惑があった田中はオートレースの八百長の件で警視庁に逮捕されていましたが、東京地検の取り調べでプロ野球での八百長について認めました。
 
先ほど田中はのちに週刊ポストに対し名誉棄損で訴えることになったと言いましたが、八百長を認めたことにより告訴を取り下げることとなりました。
 
 さらに、①藤縄、②田中、③池永の順に100万円で八百長を依頼していたことも自白し、これを聞いた池永も八百長を全て認めることになりました。
 
そらから与田と益田も次々に八百長への関与を自白し、基と村上と船田は八百長の話を依頼されたが断っており、球団社長に八百長についての告白状を提出しました。
 
その告白状によると、船田は永易から、基と村上は与田から八百長への勧誘がありましたが、きちんと断っていたことなどが書かれていました。
 
同日、楠根オーナーは記者会見を行い全ての公職から辞職することを表明しました。
その後、パリーグの理事会にて八百長に関与した西鉄選手への処分を検討し、案をまとめてプロ野球コミッショナーに提出すると、処分案が検討され後楽園サロンにて記者会見が開かれました。
 
そこで発表された処分は…
 
与田、益田、池永→永久追放処分。
 
村上、船田→八百長は断ったが報酬の返却が済んでいなかったため、11月30日のペナントレースまでの野球活動禁止処分。
 
基→八百長を断り、報酬の返却もしていたため無罪放免。
 
という結論でした。
 
そして、これで黒い霧事件は一件落着かと思いきや他の球団の黒い霧も明るみになり、多くの球団で処分者が出ることに!
 
その中でもエースの池永を含めた3名の永久追放処分や、2名の出場停止処分が出た西鉄の戦力低下はとても大きなもので、1970年に球団初となる最下位に転落すると、それから3年連続で最下位に低迷し、地元での人気も急落…。
 
さらに、経営に行き詰まると西鉄は1972年のオフに福岡野球へ身売りされることになりました。
 
その後も西鉄は激動の時代となりましたが、現在は埼玉西武ライオンズとして活躍をしています。
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まとめ

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黒い霧事件についてわかりやすくまとめてみましたが、いかがでしたでしょうか。

2005年3月16日には、永久追放処分者に対する復権についての野球協約が改正され野球界復帰への路が開かれたため、八百長に関与した池永が35年ぶりに復権しました。

黒い霧事件の逮捕者や関与した選手の数は、これまでに類を見ないほどの数となり、野球史に深く刻まれる事件となりました。

しかし、黒い霧事件によって暴力団が根付いていたプロ野球界が浄化されたとの評価する声もあります。

プロ野球ファンが試合を純粋に楽しめるように、同じ過ちを繰り返さないでもらいたいですね!

最後まで読んで頂き、ありがとうございました!

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