みなさんは、日本は水が豊富な国だと感じているでしょうか?

実は、日本の年間平均降水量は1,690ミリあり、これは世界平均(810ミリ)の約2倍にもなります!

そのため、一般的には日本には水が豊富にあり水不足とは無関係のイメージもあるかもしれません。

しかし、日本でも局地的な渇水はあり過去に発生した渇水で今世紀最大の渇水と言われた『平成6年渇水』は規模や期間が異例なものでした。

意外かもしれませんが、日本は水が豊富なわけではないんです!

そこで今回は平成6年渇水を振り返ってみたいと思います!

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平成6年渇水とは

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平成6年の夏は梅雨明けが異常に早い年でした。

その後、勢力の強い太平洋高気圧に覆われて広い範囲で過去の最高気温記録を上回り、猛烈な暑さが連日続きました。

さらに、平成6年の初めは暖冬で雪も少なく、春から梅雨前も雨があまり降らなかったことも、夏の水不足に大きく影響しました。

そして、過去に発生した水不足と比べ規模や期間が異例なものとなりました。

ちなみに、平成5年は冷夏で多雨だったため前年と真逆の天候となったようですね〜。

平成6年渇水は、今世紀最大の渇水とされています!

過去の統計を観てみると多雨と少雨の年の差が大きく、大雨による洪水対策ももちろんですが、渇水時に安定給水を確保することも大きな課題となっています。

平成6年渇水での各地域の状況

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九州北部

〜福岡市周辺〜
 
平成6年4月、福岡県内のダムの貯水率はほぼ100%だったのですが、梅雨時期の降水量が平年の半分しかなくダムの貯水率は下がる一方でした。
 
7月1日に梅雨が明けると連日猛暑が続いたため、7月6日に福岡県と九州地方建設局は渇水対策本部を設置して、水不足の対策として節水の呼びかけを始めました。
 
7月9日には筑後川からの取水制限が開始され、7月中旬までに福岡県内の多くの自治体で渇水対策本部が設置されました。
 
7月13日に福岡県内のダム貯水率が60%以下になると、7月14日に福岡管区気象台が九州北部に対して水不足に対する警戒を呼びかけました。
 
7月20日、福岡県内のダム貯水率は50%以下になりました。
 
7月21日、太宰府市で夜間断水が始まると7月27日に大野市、8月4日には福岡氏でも夜間断水が開始されました。
 
8月前半には水不足はやや回復して落ち着いていましたが、8月後半になると再び悪化していき8月20日には福岡県内のダム貯水率は25%以下になってしまいました。
 
8月22日、筑紫野市で夜間断水が始まりました。
 
9月2日、松原ダムと下筌(しもうけ)ダムで、発電用水の一部が緊急放流されました。
 
9月27日、寺内ダムの貯水率が0%となったためデッドウォーターの利用が始められました。
 
デッドウォーターとは聞き慣れない言葉ですが、ダムの貯水池の最も低い位置にある取水口よりさらに下にある利水の対象とならない水のことです。
 
9月に入ってからは雨が降る日もあったのですが、福岡市内のダム貯水率は10月に入ってからも30%程だったため断水は長期化することになりました。
 
しかし、12月28日から平成7年1月4日までの年末年始は特別に断水が解除されました。

その後、3月3日には福岡県内のダム貯水率は15.2%となりました。

4月になるとまとまった雨が降り5月17日に太宰府で断水が解除されると、5月下旬には福岡市内のダム貯水率が68%に回復し、6月1日には福岡市でも断水が解除されました。

断水の解除はなんと295日ぶりのことでした が、給水時間内の供給がしっかりと確保されていたため多くの苦情を受けずに済むことができたそうです!
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〜その他の地域〜
 
①北九州市
 
北九州市では遠賀川の豊富な水源があったため断水の恐れは少ないと考えられていましたが、遠賀川河口堰の水位が海抜0メートルを割り込む緊急事態となってしまったため平成6年9月12日から10月10日までの約1ヶ月間に夜間断水が実施されました。
 
②長崎県
 
長崎県では長崎市を含む25市町村で給水制限が行われ、特に佐世保市では平成6年8月1日から平成7年3月6日までの213日間に時間指定の断水が行われました。
 
この断水は、1日あたりの平均断水時間は20.5時間となりとても深刻な事態となりました。

四国地方

四国地方の梅雨明けは平成6年7月2日でした。

四国最大の水がめの早明浦ダムの貯水量が梅雨明け前から下がり始めていたため、水源を早明浦ダムに依存していた高松市では7月11日から夜間断水が始まり、7月15日以降は給水時間が16時から21時までの5時間だけになりました。
 
7月25日には高知県に台風7号が上陸し大雨でダムの貯水量がわずかに回復したものの、その後は再び猛暑となり早明浦ダムの貯水率は8月19日に0%となってしまいました。
 
高松市の断水は7月11日から9月30日までの67日間で、給水制限は11月14日までの139日間となりました。
 
松山市でも台風7号により水不足が解消されることはなく7月26日から夜間断水が開始され、8月1日以降は給水時間が制限されました。
 
これにより、道後温泉では営業時間短縮となり、工業用水の供給が止まったことにより操業停止となる工場もありました。
 
松山市での断水は11月26日までの124日間に及びました。

中国地方

広島県内を流れる多くの河川では観測開始以来最低の流量を記録して取水制限が行われ、夜間断水や給水制限が行われました。
 
そして、広島県西部では9月以降も少雨の傾向となり、八幡川や小瀬川では平成7年5月まで取水制限が続きました。
 
岡山県内では吉井川・旭川・高梁川の三大河川で取水制限が行われました。
 
その中でも高梁川内での取水制限は7月16日から11月30日までの138日間に及びました。
 
さらに、岡山県の水島地区では製鉄所や化学工場での減産が余儀なくされ、旭化成水島工場では宮崎県や山口県などからの海上輸送により水を確保する事態となりました。
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近畿地方

兵庫県の揖保川上流にある引原ダムでは7月19日の貯水量は52%でしたが、8月14日には8%になってしまいました。

そのため、引原ダムを水源とする姫路市では8月22日から夜間断水を実施しましたが、9月10日には引原ダムのデッドウォーターを利用する事態となりました。

そして、琵琶湖の水位も9月15日には観測史上最低の−123cmを記録したため、琵琶湖が水源となっている大阪市や京都市では減圧にて給水が実施されました。

東海地方

愛知県内の13市町では8月17日から31日にかけて、夜間断水が実施されました。

豊川市では断水が避けられない事態になりましたが、9月12日から16日に天竜川水系の佐久間ダムから豊川への緊急分水が実施され、断水が回避されました。

水不足の影響を受けて、水を大量に使用する工場では減産せざるを得ない企業もありました。

関東地方

関東地方の主要な水源の利根川上流部では6月の降水量が60%程度であったため、梅雨明けが7月12日と非常に早かったことから水不足が心配されました。

そのため、渇水対策本部が設置され対策が始められ7月22から9月19日まで取水制限が行われました。

東京都では7月29日から9月8日まで最大で15%の給水制限が行われましたが、ごく一部の地域を除いて関東地方では断水となることはありませんでした。

平成6年渇水は、特に九州北部や瀬戸内海沿岸、東海地方を中心に各地で水道水の供給が困難になりました。

その影響は1660万人にも及び、農産物への被害は1409億円にも上るなど、今世紀最大の渇水になっています。

日本は海外から多くの水を輸入している!?

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平成6年渇水は早い梅雨明けや猛暑による雨量の少なさが水不足に大きく影響しましたが、渇水ではなくても日本は海外から多くの水を輸入しています。

輸入される水の中にはミネラルウォーターも含まれるのですが、その他にも「仮想水(バーチャルウォーター)」というものがあります。

仮想水とは、農産物や製品が生産される時に使用された水を製品を購入した人が間接的に消費したとする考え方で、1990年代初めにロンドン大学のアラン教授によって提唱されました。

製品を購入した時に水も一緒に購入したと考える方はいないと思いますが、日本で輸入している製品を作るとしたら大量の水が必要になりますよね。

ある調査によると、日本の仮想水は年間で約640億m3で、日本の年間総水資源使用量(約900m3)の3分の2ほどになるとの結果が出ています。

この結果から考えてみても、日本が海外に多くの水を頼っていることが分かりますよね~!

近年の日本では、温暖化が進み年間降水量だけでは水を十分に確保することが厳しい状況になっています。

そのため、私たちは水不足に備え水を大切に使用し節水を心がけることが必要です!

また、1日に必要な飲料水は1人あたり3リットルとされており、家族分を最低3日分は常備しておくといざというときに安心です。

忘れてはいけないのが飲料水以外にもトイレ用水なども必要になるので、風呂の残り湯をはっておくと役に立ちます!

このように、断水になった時の対策も前もって考えておきましょう!

まとめ

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平成6年渇水についてまとめてみましたが、いかがでしたでしょうか。
 
平成6年渇水は、過去に発生した最大の渇水です。
 
私も子供の頃に経験したはずですがあまり覚えていないため、過去にこれほどまでに深刻な水不足があったとは驚きました。
 
日本は水に囲まれた国ですが、水が豊富にあるわけではないことを頭に入れておきたいですね!
 
最後まで読んで頂き、ありがとうございました!
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