日本の歴史上で最悪の詐欺事件とされている「豊田商事事件」をみなさんご存じでしょうか？
被害総額は、なんと2000億円で被害者は3万人にも及ぶ詐欺事件です。
高齢者や母子家庭などをターゲットにして存在しない純金を購入させて、保証書とわずかな利息を支払い安心させて次々とお金を巻き上げるというとても悪質な事件でした。
また、豊田商事の会長がマスコミが大勢いる前で男性2人から命を奪われてしまう衝撃的な事件にまで発展することに…。
まさに前代未聞の事件！
この事件は振り返っておく必要があると思います。
そこで今回は、豊田商事事件についてを振り返り、事件の真相や犯人の現在について迫ってみました！
豊田商事事件とは
出典:https://www.google.co.jp/imgres?
まず、豊田商事とは1981年に創業者の永野一男が大阪に設立した金を売る会社で、当時はまだ金を扱う会社が少なかったため豊田商事は急速に規模を拡大していました。
みなさんもよくご存じの、大手車メーカーの豊田自動車と同じ「豊田」にすることで、グループ企業だと錯覚させるためでした。
なぜ豊田にしたかというと、永野が中学卒業後に最初に就職したのがトヨタ自動車グループである日本電装だったためで、当然ですがトヨタグループとの資本関係などは全くありません。
また、テレビCMも多数放映して主催イベントには芸能人も起用していました。
設立した当初から、詐欺まがいの商法などとの噂がありましたが金の販売以外の事業を展開して、利益を出して急成長している企業のように見えていました。
そして、バブルがはじけると純金に対する関心が高まり、それを利用して主に高齢者や母子家庭などをターゲットにして人情に訴える営業方法で実際には存在しない純金の販売を始めました。
豊田商事の金販売の手口とは
出典:https://www.google.co.jp/imgres?
豊田商事の手口は、訪問したセールスマンが金の価値や資産として手に入れる優位性などを長々と語り購入を促すというものでした。
ターゲットは主に高齢者が一番多く、電話セールスなどで無差別に勧誘して家を訪問し、線香をあげたり身辺の世話などして「息子だと思ってくれ」と人情に訴えて語りかけます。
客がその説明に納得すると、次に購入した金をそのまま豊田商事に預けておき、金を運用して年間で10%以上の利息を支払うことを約束します。
客を安心させて信用させていたわけです。
そして、金を購入した証明として本物の金ではなく「純金ファミリー契約証券」と記された証券を客に渡し、実際に客が手にするものは証券の紙切れのみでした。
この商法がのちに「ペーパー商法」と呼ばれるようになりました。
豊田商事の営業所には金の延べ棒が積まれていましたが、後にそれらがニセモノであったことも明らかになっています。
次々と客をだまし続け店舗数は全国に60店舗にまで増え、従業員数は7500人に増えていきました。
豊田商事の営業マンたちの給料は、売り上げに応じて高額な歩合給が支給されたこともあり、トップクラスの営業マンの月給は1,000万円を超えていたようです。
豊田商事の会長だった永野は高級車を何台も所持して、自家用ジェット機まで購入するほど裕福な生活を送っていました。
しかし、豊田商事の悪質な詐欺行為は長く続くことはありませんでした。
豊田商事の商法が社会問題化！永野一男の命が奪われた！
1985年、豊田商事の商法が社会問題化し被害総額は2000億円、被害者数は3万人となり日本の歴史上で最悪の詐欺事件となりました。
6月18日、豊田商事会長の永野が逮捕されるという情報を聞きつけた報道陣たちが、永野の自宅マンションに集まっていました。
するとそこに、自らを被害者の元上司と名乗る自営業の飯田篤郎と、建築作業員の矢野正計が現れました。
そして2人は永野の家の窓柵をぶち壊して部屋に乱入し、マスコミがいる前で永野の命を奪ったのです。
この事件はテレビで生中継されていたため、なんとこの時の残酷な様子がお茶の間に流れてしまうことに！
NHKではアナウンサーが「お子さんには見せないでください」と慌てて異例の注意を促す事態にまで発展しました。
事件後に部屋から出てきた飯田と矢野は「俺たちが犯人だ！警察を呼べ！」と叫び、駆けつけた警察官によって連行されていきました。
また、この一連の事態の最中にマスコミは現場にいながらなぜ犯行を止めなかったのかと、世間から猛烈なバッシングを受けることとなりました。
豊田商事事件犯人の人物像
豊田商事会長の永野の命を奪った飯田篤郎と矢野正計とは一体どんな人物だったのでしょうか。
まず、主犯格とされる飯田は当時56歳で大阪豊中市で鉄工所を営んでいました。
その工場では高齢者や身体に障害がある人を積極的に雇用していましたが、1984年に5億円の借金を抱えて倒産しています。
飯田は豊田商事の直接的な被害者ではなく、工場倒産は下請けにだまされたことや不景気などが原因でした。
犯行の動機としては、知り合いに頼まれたことや高齢者をターゲットにしていた豊田商事が許せなかったとも述べています。
そしてもう一人の犯人の矢野は当時30歳で建築作業員をしていましたが、飯田に恩があったため事件に加担したと供述していました。
犯人2人に実刑判決
大阪地検にて飯田には懲役10年、矢野には懲役8年の実刑判決が下されました。
この判決には甘過ぎるとの声も多く、私もそう思いました。
裁判所は飯田が「最初は命を奪うつもりはなく永野を出頭させるつもりだった。現場に集まっていたマスコミにあおられてやってしまった」と述べたものを信用できると判断し判決を下したようです。
豊田商事事件の犯人は現在釈放されている！
出典:https://www.google.co.jp/imgres?
飯田は懲役10年、矢野は懲役8年の実刑判決を受けましたが2人は刑期を終えて現在は既に出所しています。
飯田は主犯のため共犯の矢野よりも2年多く服役をしていました。
調べてみると出所後の情報がネット上に出回っていました。
飯田は出所後、近畿地方の3DKの家賃7万円のアパートに妻と一緒に現在も暮らしているそうです。
矢野は出所後は大阪市内で生活し、結婚して5人の子供に恵まれて、仕事は雀荘を経営おり、2010年頃に広島へ引っ越しをしたようです。
某週刊誌の情報によると矢野は「自分はやっていない」が口癖で、2人は釈放後に仲違いをしたという話しもあります。
豊田商事事件には多くの不可解な点が！真相は！？
出典:https://www.google.co.jp/imgres?
最悪の結末を向かえ世間に大きな衝撃を与えた事件でしたが、不可解な点が多い事件だったとも言われています。
その不可解な点をまとめてみました。
①2000億円は一体どこへ？
この事件での被害総額は2000億円にも上りましたが、事件後に被害者に戻ったお金は約1割だと言われています。
つまり、200万円ほどしか返還されなかったわけです。
そうすると残りは約1800億円になりますが、その大金がどこへ消えてしまったのかは不明なままだそうです。
一部のジャーナリストは闇社会に流れていったのではないかと予想しています。
②永野の優雅な生活
事件当時、永野が高級車を何台も所持しジェット機まで購入したと言われていましたが、それらがどこにも存在しなかったのです。
また、永野が最後に持っていた所持金はわずか711円で、住んでいたのは庶民的なマンションで社員の方がいい家に住んでいたのだとか…。
③永野の命を奪った飯田と矢野の犯行動機
主犯格の飯田は知り合いに頼まれたからと犯行動機を述べていましたが、いくら頼まれたからといえ殺人までするのか疑問ですよね。
これには、誰かに雇われて黒幕が別にいるとの噂もあります。
④飯田と矢野の懲役期間
実際に飯田が懲役10年、矢野は懲役8年の実刑判決を受けましたが、人の命が奪われた事件です。
この判決は軽いとの指摘があります。
また、犯行動機もいまいち信用できないものでありますが、裁判所で2人の供述が認められており疑問が残っています。
⑤飯田と矢野が現れた時の疑問
永野が襲われた当日、永野のマンション前では警察が見張りをしていました。
しかしなぜか、飯田と矢野が現れた時間には警察はおらず、2人はすんなりとマンションに入ることができたのです。
すべては計画だったのでしょうか。
これら不可解な点は解決されることはなく、豊田商事事件の真相は闇に葬られることとなりました。
被害者のために立ち上がった正義の弁護士がいた
出典:https://www.google.co.jp/imgres?
あまりにも衝撃的な永野に対する襲撃事件によって、国民たちの事件に対する興味は冷めていきました。
豊田商事に預金をだましとられていた多くの被害者がいたわけですが、自業自得だという世間の声も多く、さらに苦しみを味わっていました。
被害者たちのために被害者の会が発足しましたが、資金回収の難しさに多くの弁護士は弁護を引き受けるのを嫌がりました。
世間からの批判と、資金回収の見込みがほぼない案件でしたが、一人の弁護士が立ち上がりました。
その弁護士とは、後に平成の鬼平と言われた中坊公平弁護士です。
中坊弁護士が注目をあびたのは、森永ヒ素ミルク中毒事件でした。
さらには、千日デパート火災テナント弁護団の団長に就任するなどし、徹底して社会的弱者を法律により救済する正義の弁護士と言われていました。
被害者のために困難に立ち向かう！
中坊弁護士を中心として資金回収チームを作り、回収に乗り出しましたが豊田商事の資産は０でした。
また、豊田商事関係者の協力もあまり得られず、現金どころか帳簿も残されていませんでした。
預金を失った被害者は世間からの自業自得との批判もあび、とうとう自ら命を絶つ人まで現れてしまいました。
警察もなんとか資料を集めましたが、それらの資料は豊田商事に資産がないことを証明するだけのものでした。
そこで、中坊弁護士は豊田商事が借りていたビルの保証金に目をつけて、回収に乗り出しました。
豊田商事が借りていたビルは全国にあり、その保証金は総額30億円にも上っていました。
通常であれば保証金は8割が返還されるため20億円の回収が見込まれていましたが、管理会社の多くは豊田商事の違法性を疑い、保証金返還をしない契約にしていました。
中坊弁護士はあきらめませんでした。
豊田商事の投資先はゴルフ場などの一般企業で、豊田商事の違法性を疑いながらも一般企業からは多くのお金を投資されていたのです。
そしてゴルフ場開発のゼネコンから5億円を返還、高い給料の従業員たちの源泉徴収された税金にも目をつけました。
被害者たちも座り込みなどをして、国税から12億円が回収されました。
中坊弁護士たちが努力をして取り戻した総額は130億円にものぼりましたが、被害総額の10%ほどにしかなりませんでした。
被害者集会での中坊公平の涙
豊田商事事件の最後の被害者集会にて、回収できた資金は130億円で被害総額の10%ほどしかないことが報告されました。
中坊弁護士は被害者たちの前で頭を下げて謝罪しました。
そこで一人の老人が立ち上がって話し出しました。
「返して頂くお金はただのお金ではありません。乾いたタオルを絞って出た一滴です。みなさん大切に拝んで使いましょう。」
被害者たちは中坊弁護士たちの努力を知っていたため、この老人の言葉に賛同するように多くの拍手を資金回収チームに送りました。
そして、この温かい拍手に中坊弁護士はじめ資金回収チームのメンバーは、涙を隠さずに泣いたそうです。
また、被害者一人からは「素晴らしい弁護士さんたちに出会えて良い体験ができた。もう一度人を信じてみようと思います。ありがとうございました。」との声も。
被害者たちは預金を失って世間からの批判もあびた途方にくれていましたが、正義の弁護士により一筋の光を見つけることができたのかもしれませんね。
まとめ
出典:https://www.google.co.jp/imgres?
豊田商事事件についてを振り返り、事件の真相や犯人の現在について迫ってみましたがいかがでしょうか？
豊田商事事件は、日本の歴史上で最悪の詐欺事件です。
事件には不可解な点ありますが、真相は闇に葬られてしまっています。
黒幕の存在が気になります。
現在も詐欺事件は起きていますが、このような前代未聞の事件が再び起こらないように祈るばかりです。
最後まで読んで頂き、ありがとうございました！
