2018年10月30日、韓国の最高裁判所が4人の元徴用工の韓国人に対して、日本企業が合計4,000万円を賠償するようにとの判決が出されました。
さまざまなメディアでこの徴用工問題が取り上げられましたが、元徴用工とは一体何?と疑問に思った方もいるのではないでしょうか。
私自身はネットニュースでこの問題を目にしたのですが、そもそも「元徴用工」って何て読むの!?と読み方すらあやふやでした…。(苦笑)
そこで今回は、今話題になっている元徴用工とは何かについてや、なぜ今問題になっているのかなどをわかりやすくまとめてみました。
元徴用工とは?
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それでは、元徴用工とは何かについてわかりやすく解説していきます!
まずは元徴用工の読み方ですが、「もとちょうようこう」と読みます。
徴用の意味には、
①戦時などの非常事態に国家が国民を強制的に動員して一定の仕事に就かせること
②物品を強制的に取り立てること
などの意味があります。
今回の元徴用工の問題では、①の強制的に動員して一定の仕事に就かせることの意味になります。
さらに、徴用工の「工」は人や職人などの意味となります。
これらをふまえて元徴用工とは何かわかりやすく解説すると、日本により強制的に仕事をさせられた人ということになります。
徴用工問題とは?
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元徴用工とは何かをわかりやすく解説しましたが、今話題となっている徴用工問題についてもまとめてみました。
徴用工問題とは、第二次世界大戦中に日本の統治下にあった朝鮮や中国にて、日本の企業により徴用された市民による訴訟問題のことです。
徴用が行われた時から現在までの流れをわかりやすく解説していきます!
国民徴用令が発令!韓国人も徴用!
まず、日本では1939年7月に国民徴用令が制定され、第二次世界大戦が終結するまでの間実行されました。
国民徴用令とは、戦時中の人手不足を解消するために国により仕事に就かせることができるものです。
これにより、国家が必要とすれば、国民の職業や年令、性別などを問わずに徴用が可能となりました。
また、特定の企業や業務従事者を事業主以下企業全体丸ごと徴用することも可能となりました。
国民徴用令が制定されたことにより、約288万人が徴用され一般労働者全体の2割を占めるまでになりました。
結果的にですが、国民徴用令により全国的に強制的な産業構造の変化と、労働者の配置転換が行われる事態となってしまいました。
国民徴用令の制定当初は、徴兵に次いで国家に奉仕する名誉が与えられたとの考えもあり、積極的に徴用に応じる人も多くいました。
しかし、徴用は一般国民を国家の命令で転職させて低賃金で働かせるものであったため、物価の上昇なども無視したものであり評判は良くなく、一般国民の反発は高まりました。
その後、徴用拒否が深刻化し1943年~1944年頃には徴用制度そのものが崩壊の危機を迎えてたため、学徒労働員や女子挺身隊などとして学生や女子に対しても動員が行われました。
1944年8月8日には、それまで国民徴用令が免除されていた朝鮮人にも実施することが決定され、翌月9月から1945年8月の終戦までの11ヶ月の間に女子を除いて実施されました。
日本本土への朝鮮人徴用労働者の派遣は1945年3月に下関~釜山間の連絡船の運搬が困難になるまでの7ヶ月間でした。
現在話題になっているのは、この期間に徴用された朝鮮人徴用工への賠償命令ですが、当時の徴用工への待遇はどのようなものだったのか気になりますよね~!
この時の待遇については、意見が分かれていて
「とても過酷な労働で賃金も日本人の半分だった」
や、
「食事にも恵まれ日本人よりも賃金が高かった」
などの意見があります。
必ずしも過酷な労働であったとは言えないようですね。
そして、1965年6月には韓国との国交を結ぶために日韓請求協定条約が結ばれました。
この時の日本からの経済協力は、無償供与が3億ドルで有償供与が2億ドルの合計5ドルというもので、無償供与の3億ドルだけでも当時の韓国の国家予算に並ぶほどの金額でした。
そして、無償供与の中には元徴用工への補償問題を解決するための資金も含まれており、韓国もそれを認めています。
韓国も理解しているということは、徴用工問題はすでに解決するため済みだったことになりますよね~!
あらためて、徴用工問題とは元徴用工側が第二次世界大戦中に奴隷のように扱われたとして、日本の企業を相手として訴訟をおこしている問題です。
そして、韓国にて同様の訴訟が進行中の日本の企業もあり、三菱重工業や不二越などを含めると70社を超えます。
今回話題となっているのは、2018年10月30日に韓国の最高裁である大法院が、新日本製鉄(現在は新日鉄住金)に対して、元徴用工の韓国人4人に1人あたり1億ウォン(約1,000万円)の損害賠償を命じたことです。
ちなみに、大法院で徴用工訴訟を結審したなはこれが初となります。
この徴用工問題については、2005年の盧武鉉大統領の時に、1965年の日韓請求協定で徴用工問題は解決済みとしていましたが、大法院が個人の請求権はまだ消滅していないと判断したため賠償命令の判決が出されました。
徴用工訴訟の経緯とは
1965年の日韓請求協定により、日韓の財産と請求権問題などに関しての外交的保護権が放棄されていることについては異論はありません。
しかし、1991年に日本の柳井俊二条約局長が国会答弁にて、請求権協定が個人請求権には影響を及ぼさないとの立場を表明すると、韓国国民が個人請求訴訟を提起するようになったのです。
その後、日本政府は2007年頃までは請求権協は個人訴訟に影響を及ぼさないとしていたが、現在は請求権協定により日韓の請求権協定問題は個人請求権も含めて解決されているとしています。
韓国政府はというと、2000年頃までは請求権協定により個人請求権は消滅しているとしていましたが、2000年には外交通商部長が放棄されているのは外交保護権だけで個人請求権は消滅していないと答弁しています。
当初、徴用工訴訟は日本の裁判所で争われていましたが最高裁がこれを認めなかったため、現在は韓国の裁判所で行われています。
韓国の日本に関しての問題には徴用工訴訟だけでなく、慰安婦問題や韓国人原爆被害者問題など他にも多く残されています。
大法院の判決に対する日本の反応
これに対して日本政府は、日韓関係の法的基盤を根本から覆すものだとして強く反発しました。
安倍首相も、「徴用工問題は1965年の日韓請求権協定にて安全かつ最終的に解決しているので、今回の判決は国際法に照らしてもあり得ないこと。日本政府として毅然と対応する。」と発言しています。
また、日韓請求協定には両国で紛争が勃発した場合には協議によって解決を図って、解決しない場合には「仲裁」という手続きが定められているそうです。
日本政府側は、この手続きでも解決しない場合には国際司法裁判所への提訴も視野に入れるなど、強い姿勢を見せています。
大法院の判決に対する韓国の反応
韓国大統領府高官は大法院の判決に対して記者団に、
「政府の既存の立場と異なる司法府の判決が出たため韓国政府の立場の整理をしなければならず、それにはやや時間がかかる。」
と述べています。
また、「日本政府が韓国政府を過度に批判することは解決に役に立たない」として批判の自制を求めています。
これらの大統領府高官の発言は、判決が従来の政府の立場とは違うことを明確に認めた形となりました。
この発言を聞いた限りでは、韓国政府も大法院の判決に戸惑っているような気もします。
ところが、韓国の李洛淵(イ・ナギョン)首相は、本件について、日本政府の対応を批判するコメントを発表しました。
11月7日のコメントで李洛淵首相は、韓国の最高裁判決に関する日本政府の態度に対して、
「日本政府の指導者が過激な発言を続けていることに深い憂慮」を表明。
「発言は妥当でもなく、賢明でもない」と批判しました。
ただ、
「日韓関係が未来志向的に発展することを願うという点を繰り返し表明する」
ともコメントしていて、韓国政府が難しいかじ取りを迫られている様子がうかがえます。
まとめ
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元徴用工とは何かについてや、なぜ今問題になっているのかなどをわかりやすくまとめてみましたが、いかがでしたでしょうか。
元徴用工とは何かわかりやすく解説すると、日本により強制的に仕事をさせられた人のことです。
現在も多くの元徴用工が訴訟を起こしている状況で、今回の大法院の判決は多くの訴訟の中の1つです。
今回の判決を受け、訴訟に加わっていない元徴用工の遺族らから多数の問い合わせが来ているということで、元徴用工の関係者らを対象に、年内に説明会を開くいうことです。
という事は、さらなる訴訟が起きてしまう可能性が高そうですね。
しかも、元徴用工は、韓国政府の統計でおよそ22万人もいるとか・・・
今後も元徴用工問題については目が離せません!
最後まで読んで頂き、ありがとうございました!