世界経済に大きな打撃を与え100年に一度の経済危機とまで言われた『リーマンショック』が起きてから、約10年が過ぎました。

リーマンショックにより大口の投資家や会社が破産したり大損失を被り、個人投資家までもが一瞬でお金を失ってしまいました。

アメリカ経済だけでなく、日本や世界経済にまで大きな影響を与えたリーマンショックとは、一体なんだったのでしょうか。

そこで今回はリーマンショックとは何かについて、破綻理由や世界への影響などを含めてわかりやすくまとめてみました。

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リーマンショックとは

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リーマンショックとは、2008年9月15日にアメリカで第4位の大手投資銀行であるリーマン・ブラザーズが経営破綻したことで発生した世界的な経済危機のことを総括的に呼んだものです。

たまに勘違いをしている方もいるようですが、リーマンとはサラリーマンのことではなく人名です!

そして、リーマン・ブラザーズとはドイツからの移民であったリーマン兄弟が創業して、多くの大手企業と買収や合併を繰り返しアメリカで有数の企業になった投資銀行です。

リーマンショックにより、アメリカだけでなく世界の市場が混乱し株価が急落しました。

なんと、たった1社の経営破綻により世界中が不景気に陥ってしまったのです!

ちなみに、リーマンショックは英語ではなく和製英語です。

リーマンショックのことを英語では…

・the financial crisis of 2007-2008(2007年〜2008年の金融恐慌)

・the Global Financial Crisis (国際金融危機)

・the 2008 financial crisis(2008年金融危機)

などと呼んでいます。

リーマンショックによる負債総額は、アメリカ史上最大の6,130億ドル(日本円で約64兆円)とされています。

リーマンショックの経緯

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それでは、リーマンショックの経緯についてわかりやすく解説していきます!

リーマンショックとは、リーマン・ブラザーズの破綻したことで発生した世界的な経済危機のことですが、破綻理由には住宅ローンの「サブプライムローン」の崩壊がとても深く関係しています。

なぜ住宅ローンが関係しているかと言いますと、リーマンショックから約6年前の2002年10月にさかのぼります。

当時のアメリカのブッシュ大統領は「すべてのアメリカ人に自分の家を所有してもらいたい!」と表明し、2003年10月には住宅ローンの借り手に完璧な書類の作成を無理に求めないように政府が指導する法律に署名を行なったのです。

これによって、2005年にはアメリカの69%が自宅を所有する住宅バブルが湧き起こりました。

この時に多くの人が利用したのが、サブプライムローンという住宅ローンなのです。

サブプライムローンとは聞きなれない名前ですが、一体どんなローンだったのでしょうか?

サブプライムローンとは

サブプライムローンとは住宅ローンの一種で、所得が少なく社会的信頼が低い市民層のサブプライム層が対象とされます。

さらにわかりやすく説明すると、サブプライムローンの「サブ」は2番手、「プライム」は優良または重要、「ローン」は借金という意味です。

ちなみに、「プライムローン」とは優遇ローンのことで、お金を貸したらきちんと返してくれる優良なお客さんに貸すローンのことで、信用があるので低い金利で貸し出すことができます。

それとは反対にサブプライムローンは、優良ではないけれどお金を返してくれるかどうかわからないリスクを見込んで、高い金利でお金を貸しましょうというローンです。

日本には低所得者層を対象としたリスクのあるサブプライムローンのような住宅ローンはありませんよね。

その理由をわかりやすく言えば、もしそのようなローンを組んでしまえば、返済が滞り銀行が貸したお金を回収できなくなる可能性があるからです。

銀行からすれば、ある程度の収入があって社会的信頼が高い人を対象として住宅ローンを組むことで、数十年に渡り安定した利益を獲得しているのです。

もし、返済が滞る人が続出すれば銀行が大きな損害を被ることになるため、そのようなリスクを避けるために銀行には厳格な審査基準があります。

当時のアメリカでも住宅ローンを組むのは銀行の役割でしたが、住宅の価格高騰に目を付けた住宅ローン会社がサブプライムローンを組むようになりました。

住宅ローン会社というのはいわば消費者金融のようなもので、銀行では相手にしてもらえない低所得者に高い金利を設定しローンを組んでいたのです。

当時のアメリカにはこのような住宅ローン会社がたくさんあり、多くの人がサブプライムローンを組むことができました。

日本では、住宅ローンの返済ができなくなってしまったら土地や建物を銀行に取り上げられてしまいますが、その金額が借りた金額より下がっていたらその差額を借りた人が返し続けることになります。

つまり、担保を取り上げられても借金が残ってしまうんです。

しかし、アメリカでは住宅ローンを借りる時にその土地や建物を担保にしており、返済ができなくなってしまったら担保を渡してそれでおしまいなんです!

なんと、ローンが返済できなくなったら家の鍵を住宅ローン会社に送って、本人が出て行ってしまえばその後のローン負債が残ることがないとても魅力的なものだったのです。

これでは、「住宅ローンが返せなくなっても売却して出て行けばいいや!」と、高い金利でもサブプライムローンを多くの人が利用したのには納得ですよね!

そして、アメリカでは当時の住宅価格が右肩上がりだったため、むしろローンを回収するよりも土地や建物を売った方が儲かるくらいだったそうです。

サブプライムローンは、貸し手と借り手の利害が見事に一致してどんどん拡大していきました。

 

住宅バブルの崩壊

サブプライムローンはどんどん拡大していきましたが、リスクを見込んで高い金利に設定しているわけですから、当然リスクを少しでも減らしたいと考えますよね。

そこで考えたのが、自分でいつまでも持っていないで手放すことです。

わかりやすく言ってしまえば、リスクを他人に押し付けてしまおう!と考えたのです。

住宅ローン会社が家を建てる人にお金を貸した時に、お金を返してもらえる権利が発生します。

この権利を債権と言い、お金を貸した人は債権者となります。

住宅ローン会社はこの債権を、投資銀行に売却することにしたのです。

わかりやすく例を上げて説明すると…

住宅ローン会社が家を建てる人に3,000万円を融資したとします。

サブプライムローンは高い金利がつきますので、ここでは利息を含めて4,000万円が返ってくると設定します。

お客さんがきちんとお金を全部返してくれれば、最終的な債権の価値は4,000万円になるわけです。

ですが、リスクがある人に融資しているので本当に4,000万円が返ってくるかはわかりませんよね。

そのため、住宅ローン会社はこの債権を3,500万円で投資銀行に売ってしまうことを考えたのです!

住宅ローン会社からしれみれば、そもそも貸したお金は3,000万円ですので3,500万円で売ったとしても500万円の儲けが出ます。

そして、投資銀行は4,000万円の債権を3,500万円で購入したので、こちらも得をしたことになりますよね。

しかし、投資銀行はここでお金が返ってこないかもしれないリスクを背負ったことにもなるわけですが…。

サブプライムローンの債権は利益を生む可能性が非常に高かったため、たくさんの投資銀行が飛びつきました。

その投資銀行の筆頭となったのがリーマン・ブラザーズでした。

投資銀行が住宅ローン会社から債権を購入すれば、住宅ローン会社はその代金を利用して別のお客さんに融資することができます。

これでまた新しい債権の獲得です。

その債権を再び投資銀行に売却し、その代金を利用して別のお客さんに融資をして……。

債権の移動は投資銀行だけに留まらず、投資銀行はサブプライムローンの債権を小分けにして証券化し、株式や社債などとパッケージ化し販売しました。

金融商品には、債権だけでなく株式や預貯金、ローン、外国為替などがあり、これらを組み合わせてリスクを低下させたり、リスクを覚悟してでも高い収益が見込めそうな商品を組み合わせて売り出す手法も考案されました。

そして、アメリカには債権の発行元を分析して信用度の格付けを行う格付け会社があるのですが、この投資商品は信頼性がとても高い金融商品と見なされ、なんと世界的格付け会社から「AAA」の最高評価をもらっていたのです。

権威のある会社の格付けだったため、投資家たちは債権を信用してなんの疑いもせずに次々と債権を購入していきました。

実は、格付け会社はサブプライムローン関連の商品を販売して大儲けしようと水面下で結託していたようなんです。

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住宅バブルの崩壊とリーマン・ブラザーズの破綻

サブプライムローンの利用者は返済能力の低い人を対象とした商品でしたので、返済が滞るのは目に見えていたことでした。

住宅供給もこれ以上増えない状態となって買い手がつかない家が続出し、それと同時に土地や建物の価格も暴落していきました。

そして、住宅バブルは崩壊しサブプライムローンの債権や投資商品の価値はなくなり、これらの商品が紙くず同然になってしまいました。

サブプライムローン問題の影響を受けて…

・2007年4月、サブプライムローンを提供するアメリカでトップクラスの銀行であるニューセンチュリー・ファイナンシャルが破綻。

・2007年8月、フランスに本拠のある金融グループのBNPバリパがサブプライムローン問題を深刻に受け止めて、バリパ傘下のミューチュアル・ファンドが投資家からの解約凍結を発表し、大混乱を引き起こしたパリバショックが勃発。

・2008年3月、アメリカ大手の証券会社ベアー・スターンズが経営危機に直面しましたが、アメリカの銀行最大手のJPモルガン・チェースに破格値で買収され一命を取り止める。

アメリカ大手の会社が破綻に迫られたことで、リーマン・ブラザーズは債権ビジネスに力を入れサブプライムローンなどの証券化に傾いていたため、巨額の損失を抱え込んでいるかもしれないとの認識が投資家達の間で広まっていきました。

そのため、同社に対する信用は落ち込み、社債も株価も急落してしまいました。

そしてとうとう2008年9月15日に、サブプライムローン引き受けの第一人者だったリーマン・ブラザーズが破綻することになりました。

リーマン・ブラザーズはアメリカ第4位の大手投資銀行でしたが、負債総額は6,130億ドル(日本円で約64兆円)と致命的なダメージを受けていました。

多少の経営不振であれば、他の銀行から融資を受けることができたのかもしれませんが、「融資をしても破綻するかもしれない」と思われてしまったら最後です。

金融機関がお金を貸し渋るようになり、世界経済全体が動かなくなっていきました。

その上、当時のアメリカは民間経済に関与することを嫌う共和党が政権運営を行なっていたため、リーマン・ブラザーズの経営が危なくなっても公的資金を投入することはありませんでした。

負債金額が多額すぎたという理由もあるのかもしれませんが…。

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リーマンショックが世界的な金融危機へと発展!

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サブプライムローンは住宅ローンの一種にしかすぎないものでしたが、最終的にリーマン・ブラザーズが破綻したことによって、世界的な金融危機へと発展していきました。

世界中のお金の流れが止まり、金融機関がバタバタと倒産していったのです。

リーマンショックにより深刻な不況が広がると、2009年6月にアメリカの自動車会社のトップスリーとされるゼネラル・モーターズが倒産しました。

こうなってしまえば、アメリカでトヨタやホンダなどの日本車が売れなくなります。

日本の輸出産業は大打撃を受け、日本経済も落ち込んで行きました。

このようにして、連鎖的に世界が深刻な不況へと陥っていったのです。

これまでの一連の流れが、リーマンショックと呼ばれる出来事です。

まとめ

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今回はリーマンショックとは何かについて、破綻理由や世界への影響などを含めてわかりやすくまとめてみましたが、いかがでしたでしょうか。

リーマンショックでの教訓としては、大手の金融機関が扱う商品だとしても内容をしっかりと確認してから判断して購入することにつきると思います。

また、アメリカで起きたリーマンショックが世界中の経済に大きな影響を与えたことにより、株への投資などは他国の出来事もこまめに確認した上で行うことも大切なことがわかりますよね。

うまい話には裏があるということを肝に銘じたいと思います。

最後まで読んで頂き、ありがとうございました!

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