熊本地震を振り返る
2016年4月14日に発生した熊本地震から、あと3ヶ月ほどで2年が経とうとしています。
今でも復興活動や復興支援がなされている中、皆さんは今、何を感じますか?
あの大きな震災を経て私たちは何を学ばなければいけないのか、何を忘れてはいけないのか、改めて今回は「熊本地震」を振り返り、学んでいきたいと思います。
どのような震災であったのか?
それではそもそも「熊本地震」とはどのような震災であったのかを、改めて振り返ってみたいと思います。
熊本地震、それは2016年4月14日21時26分以降に熊本県と大分県で相次いで発生した地震災害のことを指して言います。
まずは2016年4月14日21時26分ごろ、熊本県の益城町宮園を中心に震度7の強い揺れを観測しました。
マグニチュードは6.5でした。震源地は熊本県熊本地方(北緯32度44.5分、東経130度48.5分)で、深さ約11㎞と推定されています。
この地震により津波の恐れはありませんでしたが、その後も震度1以上の余震が500回以上観測され、人々は気の休まらない夜を過ごしました。
その後さらに4月16日になって午前1時25分ごろ、布田川活断層帯(北緯32度45.2分、東経130度45.7分)、深さ暫定値約12㎞で震度6の揺れが観測されました。
断層は約27㎞にわたって動いたため、今度は熊本県の益城町宮園以外にも熊本県南阿蘇村、熊本市中央区、熊本市東区、熊本市西区、菊池市、宇城市、合志市、大津市、宇土市、嘉島町でも大きな揺れが観測され、被害が及びました。
すぐにマグニチュードは7.3と判明し、気象庁は14日以降に続く「本震」と判断しました。これにより、4月14日の地震は「前震」と定義づけられたのです。
なお、マグニチュード7.3とは1995年の阪神大震災と同規模と言われています。
その後も16日は最大震度6強の地震が相次ぎ、震度1以上を観測する地震が590回発生するなど、各地では家屋の倒壊や土砂災害などの被害が広がる結果となりました。
震災の被害状況とは
震災当時から今まで判明している被害状況はどのようなものなのかをまとめてみました。
物的被害状況
警察庁、消防庁の情報によると、2018年時点において、住まわれている家屋被害で全壊が952棟(すべて熊本県)、半壊が1279棟(うち熊本県が1275棟、大分県で3棟、宮崎県で1棟)、一部破損が1,092棟(うち熊本県で837棟、福岡県で224棟、大分県で15棟、宮崎県で13棟、山口県で3棟)と発表されており、非住家被害では公共の建物が63棟、その他が計51棟と発表されています。
そのほかにも、熊本県では地震による火災が14件発生したと報告しています。
そのためガス供給停止戸数は一時105,000戸にも及び、最大445,857戸が断水、さらには最大477,000戸が停電したと報告されていますので、その被害は計り知れません。
人的被害状況
2018年時点での警察庁、消防庁の情報によると、直接的な震災による死者は熊本県で44名、重傷者が216名(うち熊本県で204名、佐賀県で4名、大分県で4名、宮崎県で3名、福岡県で1名)、軽傷者が898名(うち熊本県で851名、大分県で20名、福岡県で13名、佐賀県で9名、宮崎県で5名)と発表されています。
そのうち4月16日に亡くなられた方の多くは、家屋や家具の下敷きとなり圧死や外傷性窒息死が多かったと発表されています。
また2018年に入り、熊本市は熊本地震の震災関連死に認定された人数を249名と発表しました。
うち熊本県では246名、大分県では3名となり、熊本地震の犠牲者は直接死は50名と、地震の影響で2016年6月に豪雨で土砂災害などに見舞われた5名を合わせると304名にも上ることになります。
また記憶に深く刻まれている被害としては、東海大学阿蘇キャンパス近くの学生向けアパートの倒壊ではないでしょうか。
木造アパートであったこともあり、この地震で校舎の壁の一部が剥がれ落ち、敷地内の地面が割れたほか、近くの阿曽大橋は崩落、道路や複数個所で陥没するという被害が出ました。学生たちが住んでいたアパートも被害を受け、少なくとも6棟が倒壊し、学生3名がお亡くなりになられました。
土砂災害
2018年までに報告された土砂災害発生状況は190件にも上り、うち土石流などが57件、地滑りが10件、がけ崩れが123件となっています。
現在はどうなっているのか
それでは震災後、現在はどのようになっているのかを調べてみました。
地震活動の状況
2年が経とうとしている今でも、熊本県を中心とする一連の地震活動は全体としてみると引き続き続いており、減衰してはいるものの気は抜けない状況が続いています。
国土交通省の気象庁のホームページでは、これまでの地震活動で揺れの強かった地域では、家屋の倒壊や土砂災害などの危険性が引き続き高まった状態ですので、今後の地震活動や降雨の状況に注意してくださいとしています。
避難状況
2018年時点でもまだ避難指示が2市1町1村およそ1,410世帯3,529名に出されており、避難勧告も1市5町1村およそ29,232世帯73,355名に出されている状況です。
避難所は今も各県で1000カ所以上開設され、避難者は11万人以上とも言われています。
あの東海大学阿蘇キャンパスは今
その後の東海大学阿蘇キャンパスですが、被災状況の調査が進まずに安全性が確認できないことなどを理由に同大学は長らく休校していましたが、その後の調査により、建物の直下をはじめとする各所に断層が走っていることが確認されました。少なくとも断層の上には建物を新たに建てることはできないため、これにより全面的な再建は断念されました。
同大学は、今後は利用可能な農場や放牧地などを再整備して実習などに使うことにしたと発表しています。
当時村で暮らしていた学生たちの多くは、今も熊本市の仮設住宅などに移り、熊本キャンパスに通っているといいます。
熊本市の動き
2018年に入ってから、熊本市は被災者の方が入居予定とされる災害公営住宅(いわゆる復興住宅)の計画戸数を160戸増やして310戸とする新たな整備計画を発表しています。
しかし被災者の災害公営住宅と公営住宅への入居申し込み件数は1,181世帯にも達していると言われ、提供予定戸数では追い付かない状況です。そのため、熊本市は来年末までに災害公営住宅を完成させ、かつ不足分は市営住宅や県営住宅を修繕した空室の約1,370戸を提供するとしています。
また、熊本県では熊本地震から2年となる2018年4月14日午前10時から、ご遺族らが参列予定の犠牲者追悼式を県庁で開く予定としています。会場は式後、追悼、献花する市民に開放されます。
さらに翌15日には熊本地震からの復興方針などを話し合う「くまもと復旧・復興有識者会議」を県庁で行う予定であり、今後の復興に向けて意見交換がなされる予定です。
義援金の現状とは
現在、熊本地震義援金は平成29年11月30日時点での受付状況は439,344件で287億9,170万1,620円となっています。
熊本地震の義援金は平成31年3月31日まで受付しており、協力方法は指定のゆうちょ銀行や郵便局、銀行へ振り込みすることで可能です。
またコンビニエンスストア端末(たとえばloppi募金やFamiポート募金)などからもご協力いただけるほか、信用金庫、熊本県支部でも受付しているといいますので、併せてご確認ください。
復興支援の輪
復興支援の輪は今もなお広がりを見せています。各地では復興支援のためのチャリティや募金活動のほか、試合やイベントを通してその収益金の一部を寄付するという形で支援活動が広がっています。
たとえば埼玉県新座市の十文字学園女子大学の学生たち8人は、ゼミ性の友人が熊本地震で被災したことを知り、熊本県産の食材を使ってオリジナルスイーツを作ることを考案。実際に2017年には学生たちが熊本を訪れ、現地の農家などで熊本名産の「いきなり団子」などの作り方を教わり、ベーグルや団子などを開発したといいます。
そして2018年1月20日、熊本地震の復興を支援するために同市ふるさと新座館でオリジナルスイーツを販売しました。5品900個のスイーツは正午ごろには完売したそうです。この収益金の一部は熊本県に寄付するといいます。
まとめ
あらためて熊本地震について振り返ってみましたが、現在もまだ復興活動の最中であり、いまだ2年経ってもなお、避難所生活をされながら不安に過ごされている方が多くいらっしゃるということが分かりました。
私たちがこの震災から学ぶべきこと、それは「他人事ではなく、いつ自分に起きてもおかしくないこと」だということです。日本は地震国家とも言われるほどたくさんの活断層の上に位置しています。いつ、どこで、またこのような大きな地震に見舞われても不思議ではないのです。
そこで私たちができることは、地震に見舞われた時にどのような被害が想定されるのか、万が一に備えてどのような耐震や防災準備ができるのかを、一人一人が認識して行動することではないでしょうか。
ぜひとも身近なことから一つずつ、でもいいですので皆さんのお役に立てればなによりです。
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最後になりますが、このたびの熊本地震によりお亡くなりになられた方々とご遺族の皆さまに対し、ご冥福をお祈り申し上げるとともに、被災者の皆さまに謹んでお見舞い申し上げます。
最後まで読んでいただきありがとうございました。