突然ですが、皆さんは「桜島」という観光地を知っていますか?

観光地と申し上げましたが、実は桜島というのは現在もなお活発な活動を続けている火山なのです。

現在も活動をしているということは、いつ火山が噴火してもおかしくはないのですが、残念ながら私たちは火山の噴火について、あまり知識を持ち合わせていません。

先日も群馬県の北西部にある草津白根山が噴火しましたが、いざ噴火に見舞われた際に、私たちはどのような行動を起こすべきなのか、これを機に学ばせていただきたいと思います。

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桜島とは

まずは前段として、桜島について皆さんにご紹介いたします。

桜島は九州南部の鹿児島県、鹿児島湾(または錦江湾)にある東西約12㎞、南北約10㎞、周囲が約55㎞、面積が約77㎢の火山のことを指します。

さらに詳しくご説明すると、姶良カルデラ(アイラカルデラ)と呼ばれる山々の南縁部に生じた安山岩~デイサイトの成層火山のことを指しており、北岳、中岳、南岳の三峰と権現山、鍋山、引ノ平などの側火山から成り、鹿児島市の市街地に近接しています。

比較的に本の火山の中では新しい火山で、海の中にそびえるその山容は特に異彩を放っていると言われ、鹿児島のシンボルの一つです。

観光地としても知られており、2007年に日本の地質百選に選定されました。

今では国際火山学及び地球内部化学協会が指定する、特定16火山のひとつになっています。

桜島の歴史

有史以降の山頂噴火としては南岳に限られていますが、山腹や付近の海底からも噴火した歴史があり、今もなお警戒されている常時観測火山です。

実際に、「天平宝字」「文明」「安永」「大正」に起きた桜島の噴火はすべて山腹噴火であり、プリニー式噴火で始まり、火砕流の発生とともに多量の溶岩流出があったといわれています。

また、「昭和」噴火も山頂火口そばの斜面で発生し、溶岩を流出しています。

なぜ桜島は常時観測火山とされたのか

実は桜島というのはその昔、1914年(大正3年)の噴火前は鹿児島湾内の火山島でしたが、大正噴火で流出した溶岩により大隅半島と陸続きになったのです。

現在は不規則な楕円形の小半島となってるのはその為です。

常時観測火山とされている所以としては、1955年(昭和30年)10月に南岳山頂火口で爆発があった以降、今日まで長期間にわたって活発な噴火活動を続けており、火山ガス、火山灰、火山礫、噴石などの噴出物や、爆発時の空振、また、二次災害としての土石流などにより各方面に被害を及ぼしているためです。

さらには実際に南岳の東山腹8合目に位置する昭和火口においては、2006年(平成18年)年6月に58年ぶりとなる噴火活動を再開していますし、2008年以降活発な噴火活動が継続しています。

なお、南岳山頂火口及び昭和火口から2㎞以内は現在も立ち入り禁止となっています。

噴火活動史

桜島の発達史は古期北岳、新期北岳、南岳の3つのステージに区分できるといわれています。

まず古期北岳の活動(約2万6千年から2万4千年前)の後、休止期間を経て新期北岳の活動が1万3千年前から開始し、少なくとも10回の軽石噴火を繰り返し、約5千年前には活動を停止したと推測されています。
その後、南岳の活動へ移り、歴史時代に4回の軽石噴火が発生したと言われています。

桜島の有史以降の火山活動

前述にも述べたように、有史以降の山頂噴火としては南岳に限られていますが、山腹や付近の海底からも噴火した歴史があります。

古くは708年(和銅元年)をはじめとして、マグマ噴火やマグマ水蒸気噴火などを繰り返し、1955年(昭和30年)あたりから同じ噴火でもブルカノ式噴火や連続噴火を繰り返すようになりました。

たとえば2015年(平成27年)においては、昭和火口及び南岳山頂火口にて噴火がありました。

同年5月21日10時20分の爆発的噴火では、噴煙が火口縁上4,300mに達し、大きな噴石が昭和火口から1,300~1,800mあたりになる3合目まで達する爆発的噴火が12回発生、火砕流は6回発生したと報告されています。

その後も南岳山頂火口では9月13日、9月28日にも小規模な噴火が発生し、噴煙が最高で火口縁上2,700mまで上がったり、小規模な噴火も発生していました。

また、8月には桜島島内を震源とする火山性地震が多発したこともあり、最大地震は震度2で、桜島島内に設置されている傾斜計及び伸縮計で山体膨張を示す急激な地殻変動が観測されました。

これらの活動は、南岳直下の海面下1~3㎞を中心とする領域にマグマが板状に約200万立方メートル貫入したためと考えられています。

この年の桜島の年間爆発回数は737回にも及びました。

桜島の噴火に対して防災対策は?

それではここまで桜島の歴史や、噴火活動史について深く掘り下げてきましたが、現在における桜島の噴火への防災対策などは何か行われているのでしょうか。

調べてみると、鹿児島県では現在、桜島爆発災害対策連絡会議と呼ばれる火山防災協議会を1997年から発足させ、定期的に火山の活動状況の共有や噴火警戒レベルと噴火警報発表について、また自治体の防災対応についてなどが話し合われています。

そのほかでも、鹿児島地方気象台やt京都外大学をはじめとする火山専門家、国の砂防部局や鹿児島県防災部局がそれぞれ集まり、火山防災協議会のコアグループとなって定期的に桜島火山防災連絡会を設け、連携及び意見交換を図って桜島火山の防災対応について専門的な検討を行い、「桜島爆発災害対策連絡会議」に助言しています。

もし噴火に見舞われたら

ではもし噴火に見舞われた場合、皆さんはすぐに起こすべき行動が分かりますか?
そもそも火山が噴火するとどのようなことが起こりえるのでしょうか。

意外にも知られていない火山噴火その時に起こる現象について、それぞれに分けて詳しくご説明してまいります。

噴石

噴石とは、爆発的な噴火によって火口から吹き飛ばされる岩石などが落下してくる現象です。

大きなものでは直径50㎝以上の大きな噴石が落下してくることもあり、風の影響を受けずに短時間で落下してきます。
火口から出てくるときのスピードは200m/sを超える場合もあるというから非常に危険です。

大きな噴石であれば火口から2㎞~4㎞に多数飛来し、建物の屋根なども壊して落下するほどの威力があるため、噴石にあたって怪我をしたり亡くなられる方もいらっしゃいます。

また小さな噴石であれば、火口から10㎞以上離れた遠くでも風に流されて飛んでくることがあります。小さいからと言って油断はできず、小さくても噴石に当たれば死傷の危険性がありますので注意が必要です。

火砕流

火砕流とは、火山灰や岩塊、水蒸気、空気などが高速で地表を流れてくる現象をいいます。

最も早いところでは時速100㎞を超えるとも言われ、とても人間の足で逃げ切ることは不可能です。

火砕流の温度はとても高く、600℃以上を超えることもよくあると言われています。

そのため、あらかじめ火砕流が届くと思われる範囲を火山防災マップで確認しておくことが重要なのです。

溶岩流

溶岩流というのは高熱の溶岩が斜面を流れ、家や道路を埋め、近くの木々を燃やしてしまう現象です。

溶岩流の速さは火砕流ほどではなく、人が歩く程度の速さですので、目視確認した後でも逃げることは可能です。

火山ガス

火山ガスはマグマに溶け込んでいたガス成分が気体となって噴き出す現象です。
二酸化炭素や二酸化硫黄(亜硫酸ガス)などの有毒な成分を含むことがありますのでとても危険です。
火口などガスが出ている周辺や、窪地などの場合はガスが溜まりやすいですので、避難している時にこのような窪地に入ってしまうと、この火山ガスが充満していて気を失ってしまったり危険な状態に陥ることがあります。

火山灰

火山灰とは細かく砕けたマグマが、空高く噴き上げられて風に乗って遠くまで運ばれてくる現象です。

特に河口近くでは50㎝以上も厚く積もることがあり、ほとんどの木造家屋を倒壊させる程の重さになります。

また広範囲で被害をもたらすのが怖いところで、噴火の規模によっては数十㎞~数百㎞離れたところまで風に乗って飛んで行ってしまいます。

人体にも健康被害を及ぼすほか、飛行機のエンジントラブルを引き起こしたり、農作物への致命的な被害を与えることがあります。

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私たちがとるべき火山の防災対策

このように常時その活動を観測されながら火山活動を続ける桜島ですが、ここまで聞いていると「鹿児島県の人は不安な毎日を過ごしているのではないか」と思いますよね。

しかし実際のところ、鹿児島県の方々からすると噴火警戒レベル3くらいはいつものこと、当たり前の日常となってしまい、現在では噴火や降灰は雨のように当たり前のものだと言われる方も少なくないといいます。

とはいえ、万が一が起こった際に私たちが何をすべきなのか、何をしておかなければいけないのかを知っておくことはとても重要です。鹿児島県の方々はそれも含めて日常的に意識されているだけに過ぎません。

そこでここからは私たちがとるべき火山の防災対策についてご紹介いたします。

噴火に対する防災用品とは

それでは一つずつ見ていきましょう。

ハザードマップ(火山防災マップ)をチェックする

必ず火山、特に活火山については過去の歴史やデータを分析し、火山ごとの特徴を鑑みて将来の噴火を予想し、その被害とその範囲を算出してハザードマップというものが作成されています。
このハザードマップを持っていれば、あらかじめ自分の生活圏内が危険なのか、もし噴火した場合どこが被害に遭うのかをあらかじめ予測することができます。

気象庁の「噴火警戒レベル」を事前に把握しておく

必ず活火山の場合、気象庁から「噴火警戒レベル」が発表されています。「噴火警戒レベル」には、警戒が必要な範囲と取るべき防災対応についてが発表されていますので、これを知っておけば、取るべき行動もだいぶ明確に理解しやすいです。
また自治体からも防災の取り組みについてや避難できる場所について情報があると思いますので、事前に確認しておくようにしましょう。

避難グッズと非常用持ち出し品を用意する

実際に噴火が起きた場合、避難をしなければならないといざなった時にすぐに行動できなければ意味がありません。
その為には、避難が必要となった時にすぐに避難できる準備をしておくことが重要です。

たとえば、噴火の最中には以下のような防災避難グッズが必要です。

【防災避難グッズ】
・防災用ヘルメット(噴石から頭を守るため)
・ゴーグル、マスク(火山灰からからだを守るため)
・手袋、レインコートなどの長袖で肌を覆うもの(肌を噴石や火山灰から守るため)

また非常用持ち出し品も事前に準備しておくと安心です。

【非常用持ち出し品】
・毛布
・救急箱
・食料品(水、缶詰、食パン(乾パン)、チョコレートなど)
・ラジオ
・懐中電灯
・ろうそく、ライター
・予備電池
・缶切り
・赤ちゃん用品や介護用品
・下着
・預金通帳や印鑑、現金などの貴重品

また、火山に近い地域に住んでいないから大丈夫と思われがちですが、大きな噴石や火砕流、溶岩流などの心配はないものの、火山から少し離れたところでも火山灰は何キロにも亘って降ることがありますので準備をしておくに越したことはありません。

【少し離れた地域の方が事前に準備しておくこと】
・停電中も使える携帯電話の充電器
・電化製品やコンピュータに火山灰が入らないようにするためのラップ
・最低3日分の飲料、食料
・ゴーグル、マスク(火山灰からからだを守るため)
・懐中電灯
・予備電池
・防寒具
・救急箱
・火山灰を除去するためのスコップ、ほうき、ゴミ袋など

少し離れた地域の方は火山灰の場合、自動車内に閉じ込められることも考えられますので、自動車にも防災用品を準備しておくと安心ですね。

まとめ

いかがでしたでしょうか。あらためて桜島に関する知識を通して、火山について知ることができたのではないでしょうか。やはり何かあった時、「知らない」と「知っている」とではその後の行動に大きな差が出てきます。
今後の防災対策として私たちはどのような行動を起こすべきなのか、少しでも皆さんのお役に立てればなによりです。

ぜひとも身近なことから一つずつ、でもいいですので始めてみてはいかがでしょうか。

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