米朝首脳会談が予定通り6月12日にシンガポールで開催されましたね。
開催されるまでには、アメリカのトランプ大統領が中止を表明するなど、すんなりとはいきませんでした。
いったん中止を表明した理由には、非核化をめぐってアメリカ側が発言した内容に対して、北朝鮮の反発があったからでした。
そこで話題になったのが、「リビア方式」です。
北朝鮮側がが反発するリビア方式とは一体何なのでしょうか。
今回の一連の騒動で、初めて聞いた方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、リビア方式とは一体何なのかをまとめて、過去に行われたイラン方式などとも比較してみました!
リビア方式とは?
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まず、リビアとは国の名前でエジプトの横に位置しています。
上の画像では赤色の部分です。
リビア方式とは、2003年にアメリカの2代目ブッシュ政権が採用した、交渉や圧力、検証などさまざまな方法を指します。
ブッシュ政権は当時、リビア方式によりリビアのカダフィ政権の核兵器開発を、無条件で即時放棄させることに成功しました。
リビアで行われからリビア方式と言うとは、なんともわかりやすいですね!
それでは、リビア方式とは一体どんなものなのか詳しくみていきたいと思います。
リビア方式とは?
リビア方式とは、すべての核廃棄を完全に実行して、最終的にすべての核廃棄の確認が出来てから経済制裁を解いてあげる方式のことです。
リビア方式の場合は、すべての核施設へのアメリカの介入が大前提となっています。
ブッシュ政権はこのリビア方式により、なんと数ヵ月という短期間で核関連の機材などをすべて押収し、アメリカ内の施設へと運んで破棄したのです。
リビア方式が実行された経緯は?
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リビアは20世紀に入ってイタリアの植民地となり、1951年第二次世界大戦後に王国として独立しました。
1969年、カダフィ氏(当時27歳)らによるクーデターにより王制が廃止されて、カダフィ大佐をトップとして独裁政権が始まりました。
カダフィ大佐は、イスラム教スンニ派に属するアラビア人で、リビアでは多数を占めていました。
リビアは実質的には軍事独裁政権でしたが、カダフィ大佐はさまざまな国のアラビア人が1つになることを夢見ていて、独自の解釈で社会主義を唱えていました。
そのため、旧ソ連とは親密で、アメリカやイスラエルなどとは敵対していました。
また、カダフィ大佐は特異なキャラクターでもあり、アラビア人国家とも対立を繰り返していました。
1986年には、リビアがアメリカ軍に空爆されるなどし、アメリカ陣営から常に警戒される存在でした。
1988年、乗客ら270人が死亡した「パンアメリカン航空機爆破事件」が、リビア政府の関与の下で実行されたテロ事件だとして国際問題になり、1992年に国連安保理事会から制裁を受けました。
カダフィ政権の課題
カダフィ政権には核開発疑惑が大きな課題となっていました。
2003年、アメリカとイギリスが大量の核を含む破壊兵器を保有しているとして、イラク戦争が勃発しました。
これが影響したのか、アメリカやイギリスと裏で交渉を進めて12月にはリビアが核開発放棄で合意しました。
この時の核放棄の方式が、「リビア方式」です。
リビア方式とは、すべての核廃棄を実行してからその見返りとして制裁を解除するという方式でしたよね。
リビア方式実行の流れ
①リビアが核兵器を含む大量の破壊兵器の開発の計画を認めて、即時かつ無条件にそれを放棄することを約束。
②リビアが国際原子力機関の査察受け入れに合意。
これを受けて、事務局長らが関連施設4ヶ所に立ち入り調査を実施し、「リビアは核兵器製造には達していない状況」だとしました。
この調査と同時に、アメリカとイギリスの専門家による大量破壊兵器の除染作業も行われました。
③リビアが核開発に関するデータや高濃縮ウラン生産に使われる装置などをアメリカ側に搬送。
搬出されたし資機材の合計は500トンに及びました。
リビアの核施設の解体
上記の流れでリビアの核施設は解体され、これらの見返りとしてアメリカは2004年にリビアへの経済制裁を解除して、2006年5月に国交の回復をしました。
北朝鮮はどうしてリビア方式に反発するの?
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6月12日に米朝首脳会談が予定通りに開催されましたが、そこに至るまでにはアメリカのトランプ大統領がいったん会談の中止を表明するという事態にもなりました。
それには、アメリカのボルトン大統領補佐官が4月に「北朝鮮の非核化にはリビア方式がふさわしい」という認識をテレビ番組で示したことが関係していました。
これに対して北朝鮮の反発があったため、トランプ大統領はいったん会談の中止を表明して、リビア方式は考えていないと打ち消したのです。
北朝鮮はどうしてリビア方式に反発するのか?
まず、核開発を認めることは北朝鮮が自ら核を保有している!と叫んでいますので問題ありませんよね。
北朝鮮にとって嫌なのは、「即時かつ無条件に放棄する」という部分で、先に核をすべて放棄させらて最後に経済的な見返りを受ける順番だと言われています。
北朝鮮はすでに核を保有しており、核実験まで成功させています。
リビアの核はまだ研究段階であったため、北朝鮮にとってはリビアとは格が違うという思いもありますよね。
しかし、北朝鮮にはそれ以外に何よりも重要なことがありました。
非核化後のカダフィ政権
2011年、北アフリカのチュニジアで民主化運動が始まり、その波がリビアにまで訪れました。
カダフィ大佐は反政府勢力である武力制圧を選択し、それによって多数の死者が出ました。
国連安保理事会はこれを非難する声明文を出しましたが事態が収まらなかったため、拘束力のある制裁決議にまで進みました。
さらに、アメリカやイギリス、フランスなどが軍事介入して反体制側のリビア国民評議会を空爆で支援しました。
勢力の大半を失ってしまったカダフィ大佐は、潜伏しながら抗戦を呼びかけられましたが反体制派に拘束され殺害されてしまったのです。
もしも、カダフィ政権が核を保有していたら…。
アメリカなどの軍事介入はなかったのではないかと北朝鮮では考えているようです。
北朝鮮としては非核化を進めるとしても段階的に進めて、もしも自分達の体制を維持することが出来なくなってしまった時のために、核をもっておきたいということが大きいのではないでしょうか。
アメリカとしては、確実に核をすべて放棄させられるリビア方式を好むわけで…。
お互いに譲れない戦いとなっています。
ウクライナ方式やイラン方式とは?リビア方式との違いは?
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これまで非核化方式であるリビア方式について解説してきましたが、実はウクライナ方式やイラン方式があります。
そこで、ウクライナ方式やイラン方式とはどんな方式なのかをまとめて、リビア方式と比較してみました!
ウクライナ方式とは?
ウクライナ方式とは、先にその国の体制保証を約束してから核廃棄を実行する方式です。
実は、このウクライナ方式が一番現実性が高い方式となっていますが、過去にはロシアが約束を破ったこともあり、強制力に問題があります。
イラン方式とは?
イラン方式とは、核活動を10年~15年凍結させてから制裁を解除する方式です。
この方式は、時間もかかり完全な非核化には程遠いものでトランプ大統領は拒否しています。
ウクライナ方式とイラン方式方式と比較すると、リビア方式は先にすべての核を廃棄することが絶対条件となっています。
まとめ
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北朝鮮が反発するリビア方式についてのまとめや、過去に行われたウクライナ方式やイラン方式とは?についてのまとめはいかがでしたでしょうか。
アメリカとしは、確実に核をすべて放棄させるためにリビア方式を望みましたが、北朝鮮としては段階的に進めていきたいため反発したわけです。
北朝鮮がこれまでに核やめるやめる詐欺をしてきた実態もあるため、アメリカのボルトン大統領補佐官が「北朝鮮の非核化にはリビア方式がふさわしい」と判断した気持ちも分かりますよね。
私としては、本当に非核化を実現する気持ちがあればどんな方式でも受け入れるのでは?と思ってしまいますが…。
北朝鮮の非核化は本当に実現されるのでしょうか。
最後まで読んで頂き、ありがとうございました!